シゲブログ ~避役的放浪記~

ありゃりゃ、みつかっちゃったぜ

#88 4回目の仙台

今メモ帳として使っているこのノートは実は2017年のスケジュール帳である。年始の家族旅行から始まり、農場での住み込みバイトで終わった2017年は本当にちゃらんぽらんな1年だった。精神的にとても不安定だった。多くの人に迷惑をかけてしまった。自分も落ち…

#87 拝啓宇宙人様

〈詩のコーナー〉 拝啓宇宙人様 昨日おばあちゃんが死んじゃった 35度8分の熱だった 明日棺の中骨になって いつかお墓に入るのだろう 遠くない日におじいちゃんだって 動かなくなる日が来るのだろう おなじような白い骨になって おんなじお墓に入るのだろう …

#86 映画『フィッシュマンの涙』を観た

深夜、文章を書いていた。やっと進級できたこと、昔の友達にまた会ったこと、昔住んでいた町を歩いたこと。3月には別れと時の流れを実感してしまう。つらつらと今しか書けないであろうことをノートに書いていた。 傍らにあるラップトップで音楽を流していた…

#85 海野君のこと

今とてもしんどい。 理由はたくさんある。まず第一に睡眠の問題。昨日は友達と朝まで遊んだ。フットボールとアルコール。ラーメンとカラオケ。 第二に食事。春休みだからのらりくらり一日一食。時間も栄養素も偏っている。でんぷんばかり摂っている。 第三…

#84 盆のようなもの

◎令和元年 8月18日 おじいちゃんに私の来訪は伝わってなかったらしく、彼は驚いていた。一応お盆で、だから母と3人で過ごす予定だった。そうでもしないとなかなか会えないのであった。ほどなくして母が来た。本来ならば私が前もって祖父に連絡しなければなら…

#83 地元でプール

◎令和元年 8月16日 ともの家を9時過ぎに出た。外はもう暑かった。通りを歩き出したところで、昨日オアシスで買ったチョコとカラムーチョはほとんど食べないまま出てきたことを思い出した。 12時までミスドにいた。何冊も本を持ってきていた。昨日の夜にはア…

#82 言葉とか場所とか(1)『私小説 from left to right』

「アメリカに生まれていたら楽しかっただろうな」 かつて私の友人がそんなことを言った。私は同意した。私は中学生だった。毎日がどうしようもなくつまらなかった。引っ越し先の街にも学校にもなじめなかった私は親に命じられるままに中学受験をしたのだけ…

#81 文章の中に彼らがいてくれるおかげで。——『上海ベイビー』の天天と『ライ麦』のホールデン

『上海ベイビー』を読んだ。衛慧(weihui)という人が中国人の女性が1999年に発表した小説である。現代は『上海宝貝』らしい。「宝貝」と中国語の辞書で引いたらどういう意味なのだろう。まさか「ベイビー」と出るわけではないと思うけど。気になる。 主人公…

#80 正月

正月が来るのがイヤだった。 母と祖父と三人で過ごす年の瀬はつまらないと思った。嫌でも祖母の死を実感してしまう。3人では麻雀ができない。2対2に分かれての百人一首もできない。おばあちゃんの作った田作りも栗きんとんも無い。3人でテレビを見て寝て起き…

#79 意味のないこと意味のあること

「どうしてお前は意味のないことを心配するんだ?」 高校の時に友達に言われた言葉。部活の試合の帰りでみんな疲れた顔でバスに乗っていた。ちょうど女の人が降りたあとだった。その女の人というのが問題で、彼女の腕には無数の切り傷があったのだ。どうもリ…

#78 はるかに遠い——『停電の夜に』を読んで

2018年の夏のある日、シリア出身だという人に初めて会った。彼は広島大学の大学院で建築を勉強していると言った。F市で行われたインターンシップに私たちは参加していた。インターンとは言ってもほとんど観光のようなものだった。F市にある工場や会社を巡っ…

#77 同窓会に行ったら

最寄り駅の改札を出て数歩。じーんとした。どうして涙腺がこうも緩むのだろうと思って考えた。答えは簡単だった。私にあるものと同じようなさびしさや諦めを、今日出会った何人かの中に感じたからだった。 卒業して5年。同窓会には100人近くもの人が集まっ…

#76 同窓会に行くには

同窓会が開かれるらしい。クラスだけの同窓会だと思っていたらどうやら学年の同窓会らしい。行くのか行かないのか迷っていたけど、結局私は行く。なんだかんだでこういうのは絶対に行く。そういう性格である。コミュニケーションを取るのは上手じゃないけれ…

#75 いわき。二日目

◎令和元年11月2日 朝6:00に起きた。まだ出発まで時間があった。 昨日は東京から来た高校生と一緒にラーメンを食べたあと、睡魔に負けて早めに寝た。本当はカプセルホテルのベッドで家から持ってきた『ワインズバーグ・オハイオ』を読もうと思っていたのだけ…

#74 災害ボランティアに行った

◎令和元年11月1日 優しくなりたい。ずっとそう思っていた。保育所にいる頃からすでにその思いはあって、どうやったらよい世界が作れるのか漠然と考えていた。摩天楼に突っ込んでいく飛行機も捕らえられた中東の狂信的指導者も、100人が死んだ列車事故もアス…

#73 教室

〈詩のコーナー〉 教室 教室のうしろすわり 脳みそ半分できいている ぬるぬるの雰囲気うすら寒い空調 すやすやの寝顔と誰かのしたおなら 茶髪に染めただけのあいつも スマホ片手につまんない顔してる 今日もまたそれぞれの人生がこの部屋で交差して またみん…

#72 直方市石炭記念館

◎令和元年 8月31日午後 この感じ、宮沢賢治の童話に似てるな。そう思った瞬間が人生に一度あった。中学に入った5月、オリエンテーション旅行という名の、学年の親睦を深めるような旅行があった。あんまり覚えてないけれど兵庫県の神鍋高原に行って1泊か2泊す…

#71 血と無神経

その部屋には立派な本棚があって、おおよそ私に縁はないような本が並んでいた。日本史に関わるミステリーや旧日本軍の太平洋戦争の戦記などが乱雑に並べられていた。私はそれらのタイトルに心惹かれることはなく、ざっと眺めただけで部屋を出た。こういう時…

#70 非日常発日常行

令和元年9月19日 夜行バスが八重洲口を出たのが9時50分。電灯が消えたのが22時13分。三列目の通路側に座りながら終わりつつあるこの旅行について考えていた。東京で再会した友人のこと、ソウルで食べた焼肉、釜山の博物館、慶州のお寺と古墳、全州のバス停で…

#69 旅路の空

〈詩のコーナー〉 旅路の空 旅路の空はいつもきれい 心が広くなるからか お空を見上げて考える 旅路の空はいつもきれい 故郷の空は汚いか そういうことでもあるまいが 旅路の空はいつもきれい 雲を眺めて一休み これからどこへいきましょう 旅路の空はいつも…

#68 Blue Days

〈詩のコーナー〉 Blue Days あなたはいないこのドアのむこう あなたはいないこの夜の街にも 悲しくなんかないさびしくなんかない 七夕なんて毎年雨降り シャワーのあとでコーラを飲んでる テレビつけたまま暗がりの中で 帰りに買ったバニラのアイスバー 逃…

#67 ××××!

※血と刃の描写があります。苦手な人は注意してください 最近どうにもいかない。気分が落ち込む周期にいる。ずっと後ろ向きのことを考えていて、寝ている時だけが幸せである。 昔は「死にたい」と思う度に世界の色が変わったものだけどそんなのはもう何もない…

#66 わかってたまるか

LINEを開くのがおっくうである。先週ついに未読件数が3桁を越えた。異常事態だ。未読件数は精神の疲労度を測る指標の一つとされている。手元のマニュアルによると未読159という数値は「レベル4:不要不急の外出を避けるべし」に相当する。週末は家でゆっく…

#65 夜の国道

〈詩のコーナー〉 夜の国道 走る 黒いカーテンはとうにおり 向うの山影も闇の中 うっとりしている原付の上 走る 世界を抱きしめながら 世界に抱きしめられながら 全てが洗い流されてゆく 走る うどん牛丼ファストフード マンガ喫茶とラブホテルも 色つきの光…

#64 全部

〈詩のコーナー〉 全部 私、頭の中ではなんだって言える 空想も妄想も発想は自由 そう誰かも言ってたわ 私の中でふくらんだあなたは やっぱり本当のあなたとは違うんだよね? でも本当のあなたって? なんて面倒なことまた考えてる 底なしの沼がここにもあそ…

#63 23歳

〈詩のコーナー〉 23歳 もうなんの感動もないなんて うそぶいても強がっても 本当はずっと意識していた 23歳は大人だと思っていたのに 私はまだまだ子供で 彼らのようなはっきりとした輪郭を持たない それがあなたの魅力。 なんて言われてもピンとこない…

#62 振動

動悸が止まらなかったのがだんだん落ち着いてきた。惰性のままにスマホの画面を延々見ていた。そうしないとずっと考え込んでしまいそうだった。サマープログラムの面接。私は自分の怠惰と幼稚、人間としての未熟さを思い知って家路についていた。たかが面接…

#61 ボールが記憶を

軟球を拾った。野球ボール。Aという文字が書かれているからこれがA球という種類なんだろうと思った。私の小学校は校区内に少年野球のチームが2つもあるようなところで回りの友達も毎日野球をしている環境だった。よく寄せてもらって放課後に野球をして遊ん…

#60 私たちは何者かにならないといけない

2留している。 いや、正しく言うと、実際に留年したのは1年。その前は休学だった。 休学しても別に何もしなかった。旅行をちょろちょろして免許を取っただけだった。 今月、私は23歳になる。 「大学生で22歳」と言うのと、「大学生で23歳」と言うのは違う。 …

#59 ある出来事

※この話はフィクションです。血の描写があるので、苦手な人は読まない方がいいと思います。 11時を回ったところだった。 通称ラーメン横丁と呼ばれる通りを抜けて男は駅へと急ぐ。明日は土曜日。仕事がないとはいえ午前中は出社しなければならない。再来週に…