詩のコーナー
" data-en-clipboard="true">ぷにぷにが失われた。35分の命だった。 ぷにぷにが失われた。石橋くんの乱暴な左手によって。 ぷにぷにが失われた。その引き換えに右手の自由を得る。 ぷにぷにが失われた。後にも先にもそれだけだった。 ぷにぷにが失われた。そ…
裏切り ウッディーアレンに憧れて 映画監督になろうとしてた 14歳の冬だった 人生が転がり始めた 生まれて初めて観た映画 図書館ブースのスタンドバイミー 5歳の僕にはわからなかった 永遠も死も吹き抜ける風も ああ時がくれば たくさんのことが 少しくらい…
固執 時間が止まったように感じられることは? 自分だけが暗い穴を落ちていくのに、世界は私には気づかないで昨日と同じ顔で回り続ける 不公平だと思ったことは? 忘れてしまったの? あんなにも怒っていたのに あの頃、あなたは私の側にいて、私と同じよう…
重力のない○○ トンネルを抜けていく路線バスとオレンジ色のライト レンジの中で火花を散らすステンレスカップ 芝生でネコと遊んだ後のムズムズする鼻 大講義室を我が物顔で歩いていたネコ プールの後の教室の気だるい感じ お気に入りなのにクラスメイトに笑…
気まずい? あなたが踊っていた日はちょうど従妹の誕生日で、だから私はしばらくは忘れない。 あなたはすぐに忘れても私は思い出し続けるでしょう。 あなたが踊っていた時、月は隠れていて、夏なのに涼しかった。 あなたが気まずいなんて思うなんてなんかも…
『ミシシッピイエロー』 こんなにいい日は外に出て絵でも描こう 春風が吹いた最初の日 心はどこへでもとんでゆける パレットの上親指でかきまぜる黄色い絵の具 少しの白ともっと少しの赤をまぜて 世界に一つのミシシッピイエロー かぐわしいミシシッピイエロ…
『詩を書こう』 こういう時だから文章を書こう そう思った それなのに言葉はあとからあとから溢れて 掬えど掬えど「本当」は掴めないまま 誰かと電話した 思いつくままこぼれ出る言葉たち 強いことば弱いことば 抱きしめたいのに目を合わせたいのに 目の前に…
〈詩のコーナー〉 拝啓宇宙人様 昨日おばあちゃんが死んじゃった 35度8分の熱だった 明日棺の中骨になって いつかお墓に入るのだろう 遠くない日におじいちゃんだって 動かなくなる日が来るのだろう おなじような白い骨になって おんなじお墓に入るのだろう …
〈詩のコーナー〉 教室 教室のうしろすわり 脳みそ半分できいている ぬるぬるの雰囲気うすら寒い空調 すやすやの寝顔と誰かのしたおなら 茶髪に染めただけのあいつも スマホ片手につまんない顔してる 今日もまたそれぞれの人生がこの部屋で交差して またみん…
〈詩のコーナー〉 旅路の空 旅路の空はいつもきれい 心が広くなるからか お空を見上げて考える 旅路の空はいつもきれい 故郷の空は汚いか そういうことでもあるまいが 旅路の空はいつもきれい 雲を眺めて一休み これからどこへいきましょう 旅路の空はいつも…
〈詩のコーナー〉 Blue Days あなたはいないこのドアのむこう あなたはいないこの夜の街にも 悲しくなんかないさびしくなんかない 七夕なんて毎年雨降り シャワーのあとでコーラを飲んでる テレビつけたまま暗がりの中で 帰りに買ったバニラのアイスバー 逃…
〈詩のコーナー〉 夜の国道 走る 黒いカーテンはとうにおり 向うの山影も闇の中 うっとりしている原付の上 走る 世界を抱きしめながら 世界に抱きしめられながら 全てが洗い流されてゆく 走る うどん牛丼ファストフード マンガ喫茶とラブホテルも 色つきの光…
〈詩のコーナー〉 全部 私、頭の中ではなんだって言える 空想も妄想も発想は自由 そう誰かも言ってたわ 私の中でふくらんだあなたは やっぱり本当のあなたとは違うんだよね? でも本当のあなたって? なんて面倒なことまた考えてる 底なしの沼がここにもあそ…
〈詩のコーナー〉 23歳 もうなんの感動もないなんて うそぶいても強がっても 本当はずっと意識していた 23歳は大人だと思っていたのに 私はまだまだ子供で 彼らのようなはっきりとした輪郭を持たない それがあなたの魅力。 なんて言われてもピンとこない…
〈詩のコーナー〉 世界の末っ子 まだまだまだまだまだまだ 準備ができていないんだ まだまだまだまだまだまだ 駆け出すにはまだ早いよ 好きなものを好きなだけ 嫌いなものは飛んでゆけ いつでも夏のキリギリス どこまで許されるだろう みんながおれを縛るけ…
〈詩のコーナー〉 夕日に向かって あなたのお母さんのことを聞きました あなたがいつもより饒舌だから私はうれしくて あなたがいつもより笑うから私もいつもより笑いました それが先週のことでした あなたのお母さんのことを聞きました あなたが饒舌だった理…
〈詩のコーナー〉 ドービニーの庭 自転車に乗ってやって来た街で ゴッホの絵を見ている 盛り上がる黄色青緑かつて絵を描いた人がいて 今絵の前にいるぼく 100年前のフランスのどこかの庭 目の前に広がる草原には 自転車だけじゃたどり着けない 額縁に近づい…