シゲブログ ~避役的放浪記~

些細な出来事、思い出、映画や音楽、フィクションと詩

#68 Blue Days

〈詩のコーナー〉 Blue Days あなたはいないこのドアのむこう あなたはいないこの夜の街にも 悲しくなんかないさびしくなんかない 七夕なんて毎年雨降り シャワーのあとでコーラを飲んでる テレビつけたまま暗がりの中で 帰りに買ったバニラのアイスバー 逃…

#67 ××××!

※血と刃の描写があります。苦手な人は注意してください 最近どうにもいかない。気分が落ち込む周期にいる。ずっと後ろ向きのことを考えていて、寝ている時だけが幸せである。 昔は「死にたい」と思う度に世界の色が変わったものだけどそんなのはもう何もない…

#66 わかってたまるか

LINEを開くのがおっくうである。先週ついに未読件数が3桁を越えた。異常事態だ。未読件数は精神の疲労度を測る指標の一つとされている。手元のマニュアルによると未読159という数値は「レベル4:不要不急の外出を避けるべし」に相当する。週末は家でゆっく…

#65 夜の国道

〈詩のコーナー〉 夜の国道 走る 黒いカーテンはとうにおり 向うの山影も闇の中 うっとりしている原付の上 走る 世界を抱きしめながら 世界に抱きしめられながら 全てが洗い流されてゆく 走る うどん牛丼ファストフード マンガ喫茶とラブホテルも 色つきの光…

#64 全部

〈詩のコーナー〉 全部 私、頭の中ではなんだって言える 空想も妄想も発想は自由 そう誰かも言ってたわ 私の中でふくらんだあなたは やっぱり本当のあなたとは違うんだよね? でも本当のあなたって? なんて面倒なことまた考えてる 底なしの沼がここにもあそ…

#63 23歳

〈詩のコーナー〉 23歳 もうなんの感動もないなんて うそぶいても強がっても 本当はずっと意識していた 23歳は大人だと思っていたのに 私はまだまだ子供で 彼らのようなはっきりとした輪郭を持たない それがあなたの魅力。 なんて言われてもピンとこない…

#62 振動

動悸が止まらなかったのがだんだん落ち着いてきた。惰性のままにスマホの画面を延々見ていた。そうしないとずっと考え込んでしまいそうだった。サマープログラムの面接。私は自分の怠惰と幼稚、人間としての未熟さを思い知って家路についていた。たかが面接…

#61 ボールが記憶を

軟球を拾った。野球ボール。Aという文字が書かれているからこれがA球という種類なんだろうと思った。私の小学校は校区内に少年野球のチームが2つもあるようなところで回りの友達も毎日野球をしている環境だった。よく寄せてもらって放課後に野球をして遊ん…

#60 私たちは何者かにならないといけない

2留している。 いや、正しく言うと、実際に留年したのは1年。その前は休学だった。 休学しても別に何もしなかった。旅行をちょろちょろして免許を取っただけだった。 今月、私は23歳になる。 「大学生で22歳」と言うのと、「大学生で23歳」と言うのは違う。 …

#59 ある出来事

※この話はフィクションです。血の描写があるので、苦手な人は読まない方がいいと思います。 11時を回ったところだった。 通称ラーメン横丁と呼ばれる通りを抜けて男は駅へと急ぐ。明日は土曜日。仕事がないとはいえ午前中は出社しなければならない。再来週に…

#58 時代の切れ目に その1

4月30日 ゆっくり家でおかんとご飯を食べればよかったなと思った。 さっきからずっと山道。おまけにぽつぽつと雨も降っている。国道とは言え道幅の狭い道が続く。もう夜だから黄色い線ははっきりとは見えない。どこまでが道路でどこまでが路肩なのか。ど…

#57 自殺について05/06/19

はじめに まず、読みたい人だけ読んでください。この文章はあまり気持ちのいいものではないです。自殺について書いた文章なのは題名でわかると思います。自殺した人に対して、残された人は思い思いのことを口にします。肯定的に言うこともあります。「信念の…

#56 知多半島/アイデンティティ

※1 このブログは#49の続きでもあります。興味ある人はこちらもぜひ読んでみてください ※2 最後にお知らせがあります。 shige-taro.hatenablog.com 2月17日(日)深夜 名古屋にいた。映画祭が終わってから一人でご飯を食べていた。矢場町にある台湾料理…

#55 友達のバンド

2月21日(木) ライブに行った。心斎橋パンゲア。去年9月に伊集院香織の弾き語りに行って以来、久しぶりのライブハウスだった。 二日酔いから起きてスマホを見るとバンドマンの友達からラインが来ていた。「今日ライブじゃけえ、前売りのリストのとこに名前…

#54 一日目/『みかんの丘』

4月8日(月) 目が覚めて思ったのは「筋肉痛がひどい」ということだった。ふくらはぎは大したことがないけれど、太ももの前、——大腿四頭筋というのだろうか?——そこがとても痛い。昨日はフットサルをした。新大阪まで行って先輩と会い、知らない人に交じって…

#53 世界の末っ子

〈詩のコーナー〉 世界の末っ子 まだまだまだまだまだまだ 準備ができていないんだ まだまだまだまだまだまだ 駆け出すにはまだ早いよ 好きなものを好きなだけ 嫌いなものは飛んでゆけ いつでも夏のキリギリス どこまで許されるだろう みんながおれを縛るけ…

#52 夕日に向かって歌う歌

〈詩のコーナー〉 夕日に向かって あなたのお母さんのことを聞きました あなたがいつもより饒舌だから私はうれしくて あなたがいつもより笑うから私もいつもより笑いました それが先週のことでした あなたのお母さんのことを聞きました あなたが饒舌だった理…

#51 ハテナを投げろ!

そして迎えた新年。うちは家族で集まるとすぐ坊主めくりをするのだけど、正月一日の午後になって「ボウリングに行きたい」なんて弟が言いだして。「ああめんどくさいこと言うなよ」と思った私が口を開ける前に父が「ストライク! いい考えや!」なんて叫んで…

#50 ドービニーの庭

〈詩のコーナー〉 ドービニーの庭 自転車に乗ってやって来た街で ゴッホの絵を見ている 盛り上がる黄色青緑かつて絵を描いた人がいて 今絵の前にいるぼく 100年前のフランスのどこかの庭 目の前に広がる草原には 自転車だけじゃたどり着けない 額縁に近づい…

#49 おれの春巻き!!

大須にじいろ映画祭に参加していた。今日は朝10時から夜8時過ぎまでたくさん映画を観ていた。会場は名古屋の大須演芸場。名古屋市営地下鉄鶴舞線(水色のライン)の大須観音駅から歩いて10分ぐらい。いや10分もかからんか、5分くらい。 大きいスクリーンと大…

#48 あの頃

11月の最初の日、Kちゃんと映画館に行った。TOHOシネマズ梅田。映画をわざわざ梅田で観るなんて久しぶりだ。春休みに友人の若林君と観に行って以来である。その時は「シェイプオブウォーター」と「グレーテストショーマン」を観た。「シェイプオブウォーター…

#47 芥川龍之介がわからない。(前編)

最近読んだ本。 『蜘蛛の糸・杜子春』新潮文庫 『芥川龍之介の「羅生門」「河童」ほか6編』角川ソフィア文庫 『羅生門・鼻』新潮文庫 『地獄変・偸盗』新潮文庫 貸してもらったままの本の中に4冊も芥川があったので、先月末にようやく読み始めた。本棚にもう…

#46 障害について思うこと

目下のところEさんの頭の中には肉のことだけ。リビングで食事をする他の人のお皿から肉片をかっさらおうと機会をうかがっているのだ。「もうご飯も食べてココアも飲んだでしょう? お風呂にも入ったんだからお部屋でゆっくりしてください」と言って制止する…

#45 死人にくちなし

11月14日の夜勤。前々から読みたいと思っていた本を読み切った。読むと夢中で、ほとんど一晩で読んだ。 高野悦子『ニ十歳の原点』。おばあちゃんからもらった本。亡くなる数か月前のある日、おばあちゃんは本棚の中身を捨てる本と捨てない本に分けていた。ご…

#44 「せつない」のありか

『せつない話』という本を読んだ。私の好きな作家、山田詠美が集めた「せつない」短編たちを光文社が1993年に出版したものだ。国内外の作家が書いた14の短編たち。私はそれを先々週の金曜日に天神橋筋商店街で買ってついこないだ読みおわった。吉行淳之介の…

#43 イヤホン

イヤホンをしていた。イヤホンをしてマクドナルドの奥の暗い場所で旅行中の出来事を思い出してはつらつらとスクラップブックに書きこんでいた。とうに冷めたコーヒーと無造作に置かれたハンバーガーの包み紙が乗ったトレイは終演後の舞台のように見えなくも…

#42 目立つやつ云々

去年の1月末、免許合宿に行った。地元の車校に通うより安いようだし、私は短期集中型だから合宿で免許を取る方が性に合っている。旅が好きな私は知らない街で数週間過ごすことにも惹かれた。選んだのは山形県の小さな町でラーメンがおいしかった。 毎日ホテ…

#41 不確実性の時代におけるデートについて

もしあなたが優しい人だと思われたいのであれば、集合場所はビッグイシューの販売員がいる駅にするべきだ。相手が来た時を見計らってビッグイシューの最新号を手に取りきっかり350円を渡すのだ。お釣りをないようにするのが親切と言える。改札を出たばかりの…

#40 匂い、時々おなら

友達に貸した本が帰ってきた。ページをめくるとかすかにその人の匂いがしてちょっとだけドキドキした。私には見当もつかない香りである。多分シャンプーとかヘアスプレーとかそういう匂いなのだと思う。あるいは部屋に置いてるアロマの香りとかそんなのかも…

#39 新年。映画と小説と音楽と

2019年の新年を赤の広場で迎えた、と自慢したくて街に繰り出したのだけど赤の広場には入場規制で入れなかった。警察が柵を作った前で動けなくなって、そのまま一時間待って、別にカウントダウンをみんなでするわけでもなかった。ただスマホが新年が来たこと…