シゲブログ ~避役的放浪記~

大学でロシア語を学んでいました。関西、箱根を経て、今は北ドイツで働いています。B2レベルのドイツ語に達するのが目標です

#229 カフェにて

まあ、こういう日があってもいいか。そんな風に思って、でも少し落ち込んでいる。今日はLütjenburgの街に留まることになりそうだ。Nurlinaの彼氏がシェアハウス(ドイツ語ではWGと呼ばれる)に泊まりにきているとか、来週からWolfsburgで新しい生活を始めるP…

#228 OK。眉毛は後回し

眉間に毛が生えていて、そろそろ切らないといけないなあとか考えている。そういえば昨日スーパー並んでいる時、前に並んでいたお爺さんがとても立派な眉毛をしていたなあと何となく思い出す。その前に並んでいたお爺さんがかなりの曲者で、レジの人と何やら…

#227  顔の中の顔

顔の中に顔がある。風景の中に風景が、都市の中に都市が。記憶はリンクする。今日はジュリアを訪ねてトレヴィソに来た。経由したヴェネチアもクラーゲンフルトも、私が知っているどの都市とも似ていなかった。でも私はフリックスバスの中で、梅田のバスター…

#226 ぷにぷにが失われた

" data-en-clipboard="true">ぷにぷにが失われた。35分の命だった。 ぷにぷにが失われた。石橋くんの乱暴な左手によって。 ぷにぷにが失われた。その引き換えに右手の自由を得る。 ぷにぷにが失われた。後にも先にもそれだけだった。 ぷにぷにが失われた。そ…

#225 黒と紫

小さい頃から自分か我慢すれば物事が解決することが多かった。父と暮らしていた時も、祖父母の家に毎週行く時も、私は自分が何をやりたいのかわからないまま生きてきた。 ゲームもテレビも漫画も欲しかったけれど禁止されていた。硬い感受性のままに生きた。…

#224 フェンネルのスープ

フェンネルのスープだっけ。それともフェンネルとプロッコリーのスープだっけ。あれどっちだろう。そう思ってMさんに連絡する。なぜか今回はすぐに返事が来る。きっと、簡単に返事できる内容だったんだ。正しくは「フェンネルとブロッコリーのスープ」 去年…

#223 引きこもり。

久しぶりに引きこもっていた。この2日間の自分は本当によくないなあと思って、でもアウトプットの時間も取らないといけないのだろうと思ってこの文章を書く。長くなりそうだと思う。 せっかくこの世に生を受けたのに。せっかくドイツに来て、毎日新しいこと…

#222 雲ばっかり。雨も

時々、ジブリの『おもひでぽろぽろ』が観たくなる。高畑勲の映画。山形が舞台だったと思う。東京でOLをしていた主人公が山形に帰る一夏。主人公の子供時代と現在が行ったり来たりするストーリーが好きだった。時々、現在パートに子供時代の主人公がチラリと…

#221 レスターが降格した。それからドイツでフットボールの試合を観た。

" data-en-clipboard="true"> 私が横浜スタジアム近くの路上で買ったレスターのユニフォームは プーマのロゴが入っていない。なぜならバッタモンだから。 レスターが降格した次の日、友達とブレーメンに行った。グリム童話に出てくるあの音楽隊の彫刻と共に…

#220 レスターが降格するかも知れない

これは昨日観に行った4部リーグの試合 レスターが降格するかも知れない。 私が大学に入った時に奇跡的な優勝を成し遂げたあのチームが降格圏で最終節を迎えている。降格も昇格も引退もサッカーにも人生につきものだ。毎年好きな作家が死ぬし、誰かが死ぬた…

#219 いつかどこかで。神様みたいな人と神様みたいになって

バス停に落ちていたイチゴ 今、物事は全て鮮やかで情報量が多くて、だからちょっと辛い。いつも辛いわけじゃなくて、波があって時々辛い時期が来る。SNSを開く回数を減らしてるし、友達の書いている文章も読みたいのだけど心が崩れるのが怖くて見れてない。…

#218 ギャップ。外見と内面、それから言語

カフェ、レインハート ドイツにいるのに、今日はほとんど誰とも話していない。教えてもらったカフェにいて文章を書いている。「コーヒーキャンプ」とカタカナが書かれた帽子をかぶるのを、いい加減やめた方がいいのかもしれない。私がカタカナの帽子をかぶっ…

#217 Hamburger Pflanzenmarkt (植物市場)に行きました

例えば、私は今目の前の山羊に手を出すか迷っていて、横にいる小学生低学年くらいの子も同じように山羊に手を出すか迷っている。今私を手を出してみて、そして手を噛まれたとして、それが彼のトラウマになってしまう可能性は否定できない。その昔、彼の隣で…

#216 箱根から降りていく。

「別れを上手くすること」 それが今年の目標だった。箱根を出るときは、できるだけこっそり出たかった。でもやっぱり名残惜しくて、時間がかかった。みんなありがとう。それでも全員に感謝を伝えることは不可能で、それに自分の中にあるのは必ずしも純度100%…

#215 言えたはずのフレーズ

Berliner Tor駅 今の会話に知っているはずの単語があったのではないか、聞き取れたはずのフレーズがあったのではないかと、私はがっかりしている。きっと使えたはずのフレーズも試せるはずの表現もあったに違いない。進研ゼミじゃないけれど「この場面知って…

#214 Taiwo と Kehinde の話。ヨルバの双子は、生まれた時から名前が決まっているらしい

植物マーケットの前の金曜日。語学学校は午前と午後にも授業があった。午前は代理の先生が来て授業をやった。その先生は祖父母がリトアニア人で、戦争後にカリーニングラード(ドイツ語はケーニヒスベルク)がソ連領になったためにハンブルクに越してきたら…

#213 ナイジェリアには四季がないし、ここでは誰もスピッツの「ロビンソン」を歌わない。

ナイジェリアには四季がない。乾季と雨季しかないとはいえ草木も自然も変わるから、それを単に「四季がない」と言ってしまうのはどうかと思うけれど、でも「四季」という言葉がすでに市民権を得てしまっているから仕方がない。虹の見え方が文化によって違う…

#212 図書館に行ってみよう

地図を見ていたら本のマークがあった。Bücherhalle って書いてあったからきっと図書館だと思う。Bücher が本の複数形。単数はBuch。Halle がホール。ドイツ語の名詞には性がある。Buch は中性名詞だけど Halle が女性名詞なので Bücherhalle も女性名詞とな…

#211 語学学校2日目

クラスにナイジェリア人が2人いる。ドイツ語ではナイジェリアは「ニゲーリア」と発音するのだけれど、その度に1人は嫌な顔をする。「ニホン」と「ヤーパン」の乖離のほどを考えたら「ナイジェリア」と「ニゲーリア」の違いはさほどではないと思う。綴りさ…

#210 口角を上げろ!

何もわからないからとりあえず口角を上げている。電車で目が合うと時々笑いかけてくれる人がいて、ここにあるそのコミュニケーションはいいなと思う。日本では目が合ったらすぐに目を逸らすけれど、ここでそれをやるのはなんだか良くないことのような気がす…

#209 167番のバス

地下鉄から乗り換えて、駅前でバスを待つ。私の乗る27番のバスはさっきから待てど暮らせどやって来ない。この5分ぐらいずっと「あと12分で到着」のままだ。ちょうどラッシュアワーで、バス停の周りは人で溢れている。ドイツ語で電話に向かって何か叫んでいる…

#208 ハノイ、ノイバイ空港

ハノイのノイバイ空港でトランジットすることが決まった時、つまりトリップドットコムでフライトチケットを取った時、台南のサマースクールで知り合ったベトナムの友達に連絡するか迷った。でもしなかった。10時間弱のトランジットとはいえ、自分は空港から…

#207 飛行機の中で

マクドナルドで隣の人が盛大にこぼす。このマクドナルドは、マレーシアに修学旅行で行った時に、集合時刻の前に同級生がここでバーガーを買って話していた場所だ。その頃の私は集合時刻前にコーヒーを飲むとか、そういうことを思いつかない子供だったので驚…

#206 希死念慮に勝ち続けてきたけれど、そろそろダメかもしれない

死にたい気持ちに勝ち続けてここまで来た。希死念慮とはかれこれ20年来の付き合いだ。私はまだ26歳なのに。 ちょっと最近もうダメかもしれないなって思うことが増えた。何をやっても希死念慮に対処できない。というか、今まできちんと対処できなかったツケが…

#205 故郷になったかも知れない街

先週銀行に来た時には実印を忘れて手続きができなかった。今日はちゃんと持ってきたし窓口が開く前にはしっかり並んだ。シャッターが上がりみんなぞろぞろ入っていく。開業前から並ぶなんて、皮膚科と整形外科以外でやったことないかも。 この前の沖縄の飛行…

#204 毎週あっているかのように話せる人・加速する寂しさ

毎週会っているかのように話せた。その事実がとても嬉しかった。そう感じているのが私だけでなかったらいいなと思った。 私は誰かと別れる時が苦手で、時々どうしようもなく辛くなってしまう。駅構内だったり、ホテルの前だったり、交差点だったり、場所はど…

#203 恋とか愛とか。あと内面化したマッチョイズムとの向き合い方とか

シーブリーズのCMもポカリスエットの広告も、FMから流れてくるJポップのヒットチャートも、私達を焦らせていた。高校生活のうちに恋愛をしておかないとダメな気がしていた。でも部活をやって勉強もして、塾にも行って、読みたい本もあって。恋愛するなんてそ…

#202 恋とか愛とか。それから鬱とか

誰かを好きで好きでたまらない時の自分が好きじゃない。落ち込んでいる時、鬱状態の時、その人が自分にとってまるで救世主にように見える時がある。その人と一緒にならないと私はもう救われないような気分。その人なら私のことを全て理解して包み込んでくれ…

#201 恋とか愛とか

この道の先に、肘掛け椅子に座った未来が、私を待ち受けているとして、そこには何があるのだろう。恋愛? 結婚? 小説が売れて家族のためにマイホームを購入? 世代を超えて家族のメンバーと調和している? 2023年にいる私は、うまく将来を思い描けない。そ…

#200 沖縄4日目。ヤンバルクイナ生態展示学習施設

" data-en-clipboard="true"> ヤンバルクイナ。沖縄にいる飛べない鳥。ヤンバルクイナ。沖縄北部の「ヤンバル」に生息する希少な鳥。人が持ち込んだマングースの侵入によって数を減らしている鳥。 知らない土地の知らない自然。知らない言葉、文化。 今日も…