『ミシシッピイエロー』
こんなにいい日は外に出て絵でも描こう
春風が吹いた最初の日
心はどこへでもとんでゆける
パレットの上親指でかきまぜる黄色い絵の具
少しの白ともっと少しの赤をまぜて
世界に一つのミシシッピイエロー
かぐわしいミシシッピイエロー
なにもない夜もちょっとしたことで変わるはず
夢を見る潜水服
蝶はどこまでも飛んでゆく
星はまたたき半月は微笑んだ「淋しい人」
うすい黄色にもっと薄い白をまぜた淡い色
夏の朝焼けはミシシッピイエロー
涙が出るよミシシッピイエロー
【ひとこと】
浪人している時、予備校の近くに電子タバコIQOSのショップが出来ました。まだ珍しかったので帰り道、友達の平野君と一緒にガラスの外から店内をのぞき込みました。カラーバリエーションの中に「ボルドーレッド」という色があって、「地名を色の名前にするのってどうなん?」と駅まで歩きながら平野君と話したりしました。そのうち「地名と色をくっつけるなら、どんなのがいいか」という話になって、私が思いついたのがこのミシシッピイエローという言葉でした。この言葉が気に入った私はその夜、平野君に見せるために詩を書くまでしたのでした。
なんだか変なエピソードですが、思うに浪人時代は楽しみがなかったのでしょう。平野君と私は同じK大学の文学部を志望していたのですが、私は落ちて、平野君だけ受かりました。もし二人とも受かっていたらもっと仲良くなっていただろうと思います。大学一年生の時、K大学の学祭で会いましたが、それっきり会えていません。彼は今どこで何をしているのでしょうか。また会ってみたいですね。ゴールデンウィークに自分の部屋を整理していたら思いがけずこんな詩が出て来たのでブログに上げました。
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