〈詩のコーナー〉
拝啓宇宙人様
昨日おばあちゃんが死んじゃった
35度8分の熱だった
明日棺の中骨になって
いつかお墓に入るのだろう
遠くない日におじいちゃんだって
動かなくなる日が来るのだろう
おなじような白い骨になって
おんなじお墓に入るのだろう
いつか元気なぼくの両親も
帰らない人になるのだろう
彼らが歩いてきたみちのりも
誰も思い出さなくなるだろう
いつかいつの日かぼくだってね
土に還る時がくるだろう
昨日の電話明日の給食
全てが無に帰る————
みんな誰も彼もいなくなって
いつか文明さえもなくなって
街があった場所に風が吹いて
亡霊だけがさまよい続ける
ある日宇宙船がやってきて
彼らはぼくの街を見つけるだろう
彼らなりの解釈を施して
僕らは再び息を吹き返す
たちまち蘇るネット空間
他愛ないやりとりクラスline
メールのはじめの決まり文句
「お疲れ様です」「よろしくお願いします」
彼らは笑い泣くだろうか
そもそも面白いと思うだろうか
理解しようとしてくれるだろうか
覚えようとしてくれるだろうか
忘れられることが怖くて
忘れられたくなくて
だから今日も歌っています
暗い澱の中の醜悪をさらいながら
何食わぬ顔で
忘れることが怖くて
忘れたくなくて
だから今日も書いています
奥底から出てくるきらめきが
夢だったとしても
信じていたいから
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