シゲブログ ~避役的放浪記~

大学でロシア語を学んでいました。関西、箱根を経て、今は北ドイツで働いています。B2レベルのドイツ語に達するのが目標です

#173 ミスドで大学生活を振り返ろう(4)北摂編

 ミスド、おかわりができるのがいい。最近はコーヒーとカフェオレ、それに紅茶をドリンクバーで提供するお店もあって、ますます手軽におかわりができるようになった。おかわりをすればするほど、長居できるわけである。そして、トイレにも行きたくなる。ドリンクバーのコップは、耐熱の紙コップ。たっぷり入るのだけどしばらく飲んでいると、ミスドの陶器のカップが懐かしく感じられるようになる。不思議だ。
 今回紹介するミスドは外国語学部のキャンパスに近い4つのショップだ。大学の思い出とバイトの思い出が多めである。
 
 
小野原ショップ(ショップNo.0500)

一時期、食べかけのドーナツに芸術性を見出していた

 旧箕面キャンパスから最も近い場所にあるミスド。旧箕面キャンパスは、本当に山の中にあった。周りにあるのは住宅地と田んぼだけ。15分ほど歩けばモノレールの駅があって駅前には大きなスーパーとなぜかファミリーマートが2つもある。外国語大学だった頃は、この箕面キャンパスが本キャンパスで、学生は周辺に下宿していたと思うのだが、何も楽しみがなかっただろうと思う。実際、筑波大学と並んで学生の自殺者数が多くて問題になっていたらしい。A棟の何階にお化けが出るとか、お盆の時期に無数の幽霊が外大坂を降りていく話とか、不自然な位置にある自動販売機はその下に血痕を隠しているとか、そういうのがまことしとやかに語られていた。在学中の目撃談を授業中に語る、デリカシーのない先生もいて、授業中に気分が悪くなったりした。

誰も使わなくなった弓道場に竹林が迫る

 大学を辞めようとしていた頃は、将来に対して明るい気持ちを持てなくて、自分もいつかここのキャンパスで自殺したくなるのだろうかと思っていた。2018年も2019年も、高い階まで上がって窓を開けたら直ぐじゃないかと思っていた。でも前例があるから、どの階もどの窓も鍵は厳重に閉まっていた。

箕面キャンパス
 2020年、私は旧箕面キャンパスから徒歩10分の場所に住んでいた。時々夜中にキャンパス内を散歩したりした。大学の授業が全てオンラインになって、誰とも話せず、眠れなくてよく歩いていた。大学をウォーキングのコースにしている老人や、尾の丸まった白い猫がいた。一度なんか、下宿を出たところで鹿に会ったこともある。その時はびっくりしたけれど、驚いたのはきっと鹿も同じだったと思う。映画『スタンド・バイ・ミー』で主人公が鹿と出会うシーンを思い出した。
 

夜の旧キャンパス
 外大出身の人の昔話を聞くと、結構みんな小野原で遊んだみたいだ。吉野家マクド、ケンタッキー。学生時代の話を聞くと結構教授は小野原のことを話したりする。
外国語大学が編入されて外国語学部になるのは2000年代で、おそらくその時まで小野原は学生にとって重要拠点だったのだと思う。本キャンパスと箕面キャンパスの間をつなぐ連絡バスが運行されるようになってから、阪急沿線に住む人が増えたのだろうと思う。一度、学生生協で、新入生に物件を紹介するバイトをしたことがあるのだけれど、旧箕面キャンパス周辺は他のエリアと比べると家賃がとても安かった。私が住んでいた家もひと月30000円もしなかった。

住んでいたアパートの駐輪場
 そんな旧キャンパスから小野原まで、歩くと半時間かかる。気持ちいのいい日はいいけれど、雨の日は最悪だった。別にほとんど歩かなかったけど。
 バイト先で夜勤を終えて原付で移動し、小野原のミスドでモーニングをするというのが2019年のルーティーンだった。時間割の関係で夜勤に入れるのは火曜日が多かった。水曜はスペイン語の授業があって、毎週、水曜の午前はスペイン語の予習を慌ててやっていた。店を出る前にドリンクバーの紅茶を紙コップに入れてバイクに乗るのだった。
 久しぶりに会ったゴビゴビ砂漠くら寿司に行き、長く話したのもここ。彼とは6年の付き合いだけど、2020年から2021年にかけて、よく話したおかげで仲良くなった。隣にあるマクドにも何度か行った。

 
 
箕面ショップ(ショップNo.0001)

箕面の滝は人工って誰かが言ってた
 ローソンの1号店は豊中に。そしてミスドの1号店は箕面にある。ミスドの1号店、元々の店舗は残っていなくて、最近に新しく建った店舗の壁に、ミスドの歴史が書かれていた。そしてその横で普通にドーナツを食べられるようになっていた。ナポリの釜と同じ店内で、ドーナツを食べて美味しいと思っていたらピザの匂いがして、食べているのにまたお腹が減ったりする。
 今もあるのかはわからないけれど、私の高校には、在学中にバンドを組んでいた人が卒業時にライブをするという慣習があった。私の代のサッカー部でもバンドを組んでいて、浪人が終わった時に、後輩の卒業ライブに出た。練習するスタジオが箕面駅の駅前にあって、大学入学前の3月にそこに行って、みんなの演奏を聴いた。2曲だけ私も歌えることになって銀杏BOYZ の「BABY BABY」と RADWIMPS の「もしも」を歌った。どっちも拗らせてる男の子の歌だけど、その時はいい曲だなって思ってた。箕面駅に降りるたびにそんなことを思い出す。
 他には後輩と箕面の滝まで歩いたこととか、高校の時に部活動でグラウンドから滝まで走ったこととか。友達がオールのカラオケボックスで教えてくれた箕面の滝の近くの心霊スポットについても書きたいけれど、ミスドと関係なくなってしまうのでここらでやめておこう。

zenfone で撮った写真。色合いが他と違う

何か見えたりしますか、、、?
 
 
 
南千里駅前ショップ(ショップNo.1922)

これだけ注文して夕方まで粘っていた
 ここのミスドに行った回数はかなり多い。山田駅北千里駅の間にある場所でバイトをしていた時代があって、その頃よく行った。夜勤が主なバイトで、夜勤明けに歩いて南千里まで歩くのだった。千里周辺は50年前に山を切り開いて作った住宅地なので、自然が豊かで大きな公園があって、坂が多い。高度経済成長期に土地を売ったお陰で、孫の代まで何もせずに暮らしている一族がいるらしいと聞いたことがある。本当だろうか。

通り道にある苔だらけの欅

ここを何度も通って鉄塔が好きになった
 バイトの夜勤が終わる。学校には行かないことにする。ホームセンターとマックを通り過ぎ駅までの坂を登る。駅と駅前の美味しいパン屋を通り過ぎる。小さな梅林があって、「記念樹」と書かれた碑がある。
 ここを通るたびに記念樹って迷惑だなと思っていた。記念に植えた人が木の世話をすることはほとんどないだろうに、記念碑は植えた人のことだけを記す。なんか変だ。記念に木を植えるというのもピンとこない。記念のために植えた木が成長するにつれて、その人の記念も大きくなるのだろうか。木を植えるというアイディアだけが大事にされているように思う。

「記念樹」は阪急の線路沿いにある
 線路沿いに歩いていたのに、阪急電車はいきなりトンネルに入る。トンネルの上には公園があって、結構な量の木があって森のようだ。当時の私は公園でよくウォークマンを聴いていた。朝の公園を歩きながら相対性理論を聴きながら、浮遊感を楽しんでいたのだろう。ジッタリンジンもよく聴いた。小沢健二も結構聴いた気がする。

13年使ってるウォークマン
 ドリンクバー形式でコーヒーやカフェオレ、紅茶がおかわりできるので、面白くて何杯も飲んだ。窓があって外を歩く人を見ていた。南千里駅前の同じ並びにはスタバがあったけれど、結局入れずじまいだった。人生を通じてスタバに行ったことがほとんどない。クーポンをもらった時と、海外の空港でトランジットする時にしか使ったことがない。

どうすれば鉄塔をかっこよく撮れるか考えていた
 南千里ミスドで何を考えていたのか思い出そうとするけれど、ほとんど思い出せない。当時の日記を見直そうかと思う。バイト明けにこのミスドに行ったある日、今日がセンター試験だということに気づいた。阪急千里線には試験会場の大学があって、帰りには受験生がたくさん乗っていた。当時の私は大学に全く行ってなくて留年が決まっていた。つり革に捕まって私は何を考えていたのだろう。どうせ憂鬱そうな自分に酔っていたのだろうな。

南千里の駅前
 
 
 
千里中央セルシーショップ

店内の様子
 ここもバイトの思い出。ある日、千里中央から歩いてバイトに行こうと思ったのだ。別に最寄駅でもないし、近いわけでもない。でもその頃は歩きたくて歩いた。長いので数回しか歩かなかったけれど。大学に行けない自分にも大学にもムカついていて、何かしらの発散が必要だったのだと思う。

窓から
 千里中央周辺は、大きな道路があって、南北が分断されている。元々山だった場所なので坂が多くて、自転車も徒歩も大変だと思うのだけど、なぜか人は住む。不思議だけど、そういうのって住めば慣れるものなのだろうか。
 千里中央のセルシーは耐震の問題で建物が閉鎖されて、ミスドも閉店した、らしい。人からそう聞いた。千里中央駅を定期的に利用していたわけではない私は、気がついたらミスドが閉店していた。千里中央に下宿していた友達はよく使っていたダイエーが閉店したと残念そうに教えてくれた。

 小野原と南千里ミスドは、バイト後に行ったのだけど、ここのミスドはバイト前に行った思い出。2018年は大学がつまらなすぎてバイトだけが楽しかった。もっと専攻語の雰囲気が楽しかったら、先生同士が仲良さそうだったら、大学楽しかったんだろうなと思う。せっかく卒業できたのに、なんだか恨み節が多くて悲しい。
 大学の新しいキャンパスは千里中央から歩いて20分のところにできた。原付を手放し、実家から通うことになった最後のセメスターは時々千里中央にも行った。卒業する日までを数えて、なんだかしんみりした。
 セルシーのミスドは閉店したが、代わりにテイクアウトだけのショップがせんちゅうパルの地下にある。

 
 
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