シゲブログ ~避役的放浪記~

大学でロシア語を学んでいました。関西、箱根を経て、今は北ドイツで働いています。B2レベルのドイツ語に達するのが目標です

#166 郵送

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◎令和4年 4月××日
 多分就活をしている人は、行きたい会社にも、そんなに行きたくない会社にもESを書いている。受かっても行かないような会社を受けるなんて意味のないことだと数年前までは思っていた。でも、練習していた方が本番でうまく行く。最初の面接が第一志望の御社で、いきなりの面接に面食らって撃沈!となるよりは、経験値をつけてから臨んだ方がいい。人生の経験にもなる。普段話せない人と話せる。だから、ESを書いてもいいかなと思うくらいに気になるならとりあえず出す。とりあえず受けてみる。
 
 中学受験を思い出す。とりあえず受ける。落ちる。受かる。そして行くことになった中学、高校。大学受験は最低限のところしか受けなかった。そもそも1年目は公立しか受けさせてもらえなかったと思う。浪人した時はいくつか私立も受けた。それでも、周りと比べたら、受験してないようなもんだったと思う。
 
 書いていて思う。就活と受験を同等に考えている自分の思考は問題かもしれない。中学受験と同じメンタルでやっていてはいけない気がする。「とりあえず偏差値の高い学校を受験しよう」みたいな意識で就活をやっていては、心を削ってしまう。受験や就活の結果だけで失敗と成功が決まるわけではないし。でもお金の重要性を今嫌というほど感じている。人を助けたい。お金があったら人を助けることができる。ウクライナの人もミャンマーの人も。子ども食堂を使わないといけない人のことも、ハンディキャップを抱える家族のために孤独な人も。全員を助けたい。今までは、人を救えるような文章を書きたいと思っていたけれど、限界があるように思えてきた。大体そんな文章がいつに完成するのか。文章の世界に居続ける限り、自意識からは抜け出せないままなのではないかという不安もある。それよりも自分が生きる手段とお金が必要だ。
 
 就活。まだESや試験の段階ならいい。文章なら書くことはある。試験も問題集を買ってまで練習することはないと思っている。問題は面接。画面の中にある誰かと話す。あるいは対面で。話し過ぎてしまう。質問されて、返す。ただそれだけなのに、容量の得ない話をしてしまう。相手の顔を見て愕然とする。「あれ、元々の質問ってなんだっけ? 私今何話してるんだろ」現実に戻って自分を責める。自分を責めているうちに次の質問。怖い。逃げずにたっぷりイメージトレーニングしないと。来そうな質問を絞って、答える練習が必要だ。
 

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 今日が私にとって行きたい会社のESの提出日。「あなたの短所と長所」「挫折の経験とそこからどう立ち直ったか」「会社に入ってやりたい仕事」「学生時代に力を入れたこと」blur blur blur blur
 別に気を抜いて適当に書いているわけではないのに、薄っぺらい文章しか書けてない気がする。焦る。そのままの自分自身を見て欲しいと思うけれど、アピールをしないといけないという気持ちもある。気持ちが先走って空回りしてないか不安になる。自信が無いのに有るふりをしないといけない。いやいつかは自信をつかまないと。自信が有るふりをしているうちに、芽生えたりするものだろうか。わからない。
 
 履歴書とESと、数枚の紙を封筒に入れて郵便局に行く。直筆で書いたら、書き損じばかりで笑う。途中から笑えない量になって、顔が引き攣る。詳細は書かないけれど10枚近く無駄にした。私の時代にインターネットがあって良かったと思う。ボタン一つで修正ができる時代。
 西暦での生年を記入する欄に、平成と勘違いして「○年」と書いてしまう。「反面」を「半面」と書き間違える。今年度が終わる時点での年齢を書かなければならないのに、現在の年齢を書いてしまう。「しんにょう」が汚い。字の癖で「る」と「な」が同じに見える。気になる。書き損じてもう一部印刷する。またもう一部。もう一部。
 
 封筒も色々ルールがある。「御中」と「様」の違い。朱色で「志望所在中」などと書かなくてはならないこと。書類を封筒に入れる向き。裏に私の情報も書く。ルールが多すぎるけど、完璧な人間なんていないのだと言い聞かせて、リクルートのページを閉じる。郵便局に行く。速達は380円。うまくいきますように。
 午後の桜が綺麗。
 
 
【今日の音楽】

Sunday Bloody Sunday (Remastered 2008) - YouTube

 
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