ラーメン。東北、特に山形県のラーメンは美味しい。もちろん個人の見解である。前の記事で書いたように、大学2年目の2017年の夏に大学を休学した。半ば投げやりな気持ちで旅行に行き、その後、京丹波の農場で1月働いた。貯めたお金で免許合宿に行った。合宿所は山形県の米沢市だった。関空から仙台空港に行き、仙台から仙山線で山形に入った。今回はその免許合宿中とその前後で食べたラーメンを振り返る。2018年の年始はすごく雪が降っていた。読んでいる人にその雰囲気が少しでも伝わるといいなと思う。
2018年01/22
食事処 里味(山形市)
山形市には大学生活の間、3回行った。毎回ミンタロハットというゲストハウスに泊まる。ミンタロハットに最後に行ったのは2019年の秋だけど、またいつか戻りたい。庭があって猫がいて、まるで田舎のおじいちゃん家のような場所だ。里味には、ミンタロの常連客、まるちゃんの車に乗せられて一緒に行った。めちゃくちゃ美味しかった。ちなみにミンタロのオーナーさんがいつかの私が朝寝坊した時に出してくれたラーメンも美味しかった。私にとって山形はラーメン王国だ。
01/22〜02/05
里味でご飯を食べた後で、まるちゃんが山形駅まで送ってくれた。「また会おうね」と言って実際また会うことになった。食通のまるちゃんに大阪の美味しいお店もいくつか教えてもらった。
奥羽本線を南下して1時間ほどで米沢。駅前のロータリーに小さなバスが停まっていて、「米沢ドライビングスクール」と書いた紙を持って男の人が立っている。挨拶してそれに乗り込む。昨日の朝までいた仙台は全く雪が降っていなかったのに、米沢は何から何まで白色だった。こんな場所で運転なんてできるのだろうかと不安になった。実際路上教習では、路面に書かれた標示は読めなかったし、雪のせいで車線もあってないようなものだった。全部助手席の教官に従った。ホテルで出る食事が全部美味しかった。ご飯がおかわりできたので、朝たらふく食べるために早起きしていたほどだった。土曜日には米沢牛まで出た。
美味しいのはドライビングスクールでの昼ご飯も同じだった。教習を終えて友達と食堂に行きご飯を食べる。ただそれだけなのに楽しかった。だんだん友達もできた。ミートスパや豚の角煮丼など、美味しかったご飯はたくさんあるのだけれど、合宿が始まった頃に出た味噌ラーメンが優しい味で美味しかったのが忘れられない。それから揚げ餃子の載ったラーメンが出てきたこともあって、それも忘れられない。ワンタンメンの派生だと思うけれど、関西ではワンタンメン自体があまりメジャーでないのでびっくりした。
01/28
相部屋だった。3人部屋で、他の2人とも東京の大学だった。一人は東京外大の中国語の人で、同じ外国語学部ということで盛り上がった。4年生の彼は銀行に就職が決まっていて、後は卒業だけだった。彼はラーメン好きで、ラーメンについての本を持ってきていた。ラーメンの食材で最も手間がかかるのがメンマだと教えてもらった。米沢にいる間はラーメンを食べたは彼に報告していたと思う。時々ラーメンを食べながら彼のことを思い出す。
教習のない日曜日に、彼と赤湯までラーメンを食べに行った。赤湯のある南陽市は小さな市なのだけれど、人口と比べるとラーメン屋の数がとても多いらしい。駅にはラーメンの写真がたくさんあって、ラーメンで町おこしをしているようだった。龍上海は、商標登録にもなっている、からみそラーメンが有名で、麺はうどんのようにもちもちした縮れ麺。でも、赤湯や南陽市一帯の他のラーメンも同じ味というわけでもないらしい。同じ地域にたくさんの味があるというのは面白い。
龍上海のラーメンを食べた後で、別のラーメン屋に行く彼とは別れ、赤湯温泉に行った。入湯料が100円でびっくりした。地元の雪焼けしたおじさんが、私にはわからない言葉で話していた。硫黄臭が強いお風呂だったけれど、人生で初めて湯の花を見つけて、一人で感動していた。雪道を歩いて帰った。
01/30
指導教官は高橋さんという人だった。大人の男の人と一緒に車に乗るなんて緊張した。でも仮免が取れて雪まみれの市内を走る頃には慣れてきて、世間話をするようになった。
「ここら辺で高橋さんのオススメのラーメン屋さんありますか?」
「あっさりか? こってりか?」
「あっさりの方が好きですね」
「なら、くまぶんは美味しいぞ」
「くまぶん、くまぶんってどういう意味ですか?」
また新しい置賜弁の言葉が出てきたのかと思ったのだけど、なんてことはない。「熊文」という名前のラーメン屋が市内にあるのだった。
次の日は朝と夕方に教習があって、お昼は時間があったので、お昼を熊文で食べた。スープがびっくりするくらい美味しくて、気がつくと全部飲んでいた。米沢で多いと言う縮れ麺もよかった。
まだ時間があったので、戻ったドライビングスクールでもお昼を食べた。その日の献立は餃子ラーメンだった。それも美味しかった。夕方の教習で熊文に行ったことを話すと「もう食べてきたのか。早いなあ」と高橋さんは驚いていた。
高橋さんとの思い出はいくつかあって、前のパソコンにもいくつか下書きがあるのだけど、結局書ききれないままでいる。除雪車は路面に積もった雪を路肩に積み上げていくのだけど、車があまり通らない道はどこも真っ白で、どこまでが路面に積もった雪で、どこからが路肩なのかわからないのだ。銀世界と言えばロマンチックだけど、ハンドルを握る私の心の中は恐怖と不安でいっぱいだった。おっかなびっくり走ってる私は「もっと、スピード出す!」と高橋さんに言われ、泣きそうになりながら走った。2コマ続けての路上教習だったので、その後市内に戻って、上杉神社の駐車場で休憩した。高橋さんは自販機のコーヒーを奢ってくれて、私は生き返った。雪国で生きる人はすごいと、雪道を全く知らない阪神間出身の学生は思った。
02/02
ここも教習の合間を縫って行った。私は旅行中とにかく歩くのだけど、この時はとにかく雪道を歩くのが楽しくてずっと歩いていた。信号が縦向きだとか、針葉樹が多いとか、雪の降る昼の空が明るくも暗くもなくなんだか物悲しいとか、たくさん発見があった。米沢ドライビングスクールは最上川沿いにあるのだけれど、河原は雪ばかりで、果たしてどれくらい大きいのかわからなかった。やはり雪の解ける春には水量が増えるのだろうかなどと考えていた。「モーゼスレイク通り」という名前の東西に抜ける通りがあって、「変な名前だなあ」と思っていた。モーゼスレイクという名前のアメリカの街と姉妹都市協定を結んでいることに由来するらしい。ということはアメリカのどこかに「米沢通り」があるのか。
「初めての方はワンタンメンをお食べください」とメニューに書いているので迷わずそれにする。優柔不断なので助かる。「極薄の皮で包んだワンタンと中太の縮れ麺が半々に入っている」というようなことが書いていた。本当に極薄ふわふわのワンタンでびっくりした。関西ではワンタンメンをほとんど食べたことがなかったので挽肉の美味しさや皮の薄さに感動しているうちに食べきっていた。小さいお店だけれど、竹を使った椅子や雪見障子があって、優しい雰囲気だった。
02/05
麺屋くさび 郡山本店(福島県郡山市)
免許合宿が終わる時は変な感じだった。試験に合格した人の番号がロビーの画面に出て、友達と喜んだ。大学の合格発表みたいだったけれど、ほとんどが合格しているところが違った。ホテルとドライビングスクールを何度も往復したバスに乗って駅に向かった。同室の2人は私より遅く来たのでまだ残りがあった。友達の1人は銀山温泉に向かい、残りの友達は新幹線で帰っていった。私は郡山に出て、そこから夜行バスで帰ることにしていた。電車の時刻が来て、バイバイをして、ホームに向かった。郡山は全然雪が降ってなくて拍子抜けした。
市街の西にある開成山公園というところまで歩いた。別に意味もなく歩いたけれど、おしゃれな古着屋があったりガソリンスタンドの跡地に違う店が入っていたりして、楽しかった。公園には「開拓者の群像」という名のシンボルがあって、その説明書きによって、安積疏水の工事に代表される明治期の開拓で郡山は発展したことを初めてを知った。開拓のために集められた各地の士族をまとめるために、開成山大神宮が設置されたらしい。
またとぼとぼと歩いて駅前のラーメン屋に入った。やっぱり縮れ麺が美味しかった。色々と考えていることや楽しかった思い出をどうやってノートに書こうと思っていた。バスまで時間があったからラーメンの後ミスドに入ってずっとノートを書いた。
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