シゲブログ ~避役的放浪記~

大学でロシア語を学んでいました。関西、箱根を経て、今は北ドイツで働いています。B2レベルのドイツ語に達するのが目標です

#142 グループE第1節 ポーランド-スロバキア

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 スロバキアが青の、ポーランドは白のファーストキットを着た。スロバキアの青いユニフォームは一見ブラシで適当につけたようなカモフラ柄に見えるけれど、実は国内の山地をイメージしたデザインらしい。正直、こういうユニフォームのデザインって紋章やマークでないと何がなんやら分かりづらいものが多い。オーストリア代表のファーストもウィーン分離派に着想を得たデザインらしいのだけど、あまり共感を得られない(知っている人には納得のグラフィックなのかもしれない)。それよりもライオンが透かしで入っているカメルーン代表や、クリミア半島を含む国土の地図をデザインしたウクライナ代表のユニフォームの方が分かりやすかったりする。

 大会前に各チームのユニフォームを見たときは何とも思わなかったけれど、スロバキアの青いユニフォームは「攻めた」デザインになっていてめちゃくちゃかっこいい。ナイキのスウッシュと、サッカー協会のマークと国章が胸に並んでいて、斬新なパターンと合わさってワイルドだ。私服では眼鏡をかけたりパーカーを着たりとおしゃれで知的なハムシークも、このユニフォームを着るとやんちゃな感じに見えた。ちなみにスロバキアの国章の下にある青いモコモコはスロバキアの象徴でもある3つの山を表すらしい。どんだけ山がちな国なんだよスロバキア

 対照的にポーランドはクラシックなスタイル。フォントの番号まで古めかしくておしゃれだった。襟が国旗と同じ白赤二色になっている。胸の中央には赤い盾と王冠を戴いた白い鷲の国章があって、シンプルだけどものすごくかっこいい。赤白を基調とするクラブにいることもあって、ベドナレクとレヴァンドフスキがよく似合っていた。自分が着ても微妙かもしれないけど、屈強なポーランド人が着るとかっこいい。私的にはナイキの品評会のような試合となった。

 

 2018年のワールドカップでも思ったけれどポーランドは国際大会であまりいい試合をしないイメージがある。レヴァンドフスキ以外はあまり動きがよくなかった。ミリク、ピョンテクといったフォワードが怪我していなければそんなことなかったのかもそれない。ちなみにポーランドゴールキーパーシュチェスニーとファビアンスキは2人とも元アーセナルの選手だ。

 地力で負けるスロバキアは純粋なフォワードを起用せず、ドゥダとハムシークというプレイメーカーをトップにおいて、カウンターを狙うスタイルだった。これが功を奏し、前半はスロバキアペース。18分に簡単に先制した。ポーランドの軽い守備を突破したロベルト・マクがシュートを撃って、それがグリクにあたってコースが変わり、ポストからの跳ね返りがシュチェスニーに当たってゴール。一応オウンゴールという記録らしいけれど、シュチェスニーは何もできなかっただろうし、とにかくマクに対してベレシンスキとヨジュビアクが軽すぎた。

 

 これを機にポーランドがポゼッションを取るのだけど、ゆったりした攻撃で得点の気配はなく、むしろスロバキアのカウンターの方が点が入りそうだった。ドゥダとハムシークがうまく時間を稼ぐ間に両サイドのマクやハラスリーンが上がって厚みのある攻撃を作っていた。

 自分としては、クツカ、ハムシークというセリエAをよく観ていた頃の選手が活躍していてうれしかった。クツカはジェノアを経てミランに来てくれた選手。低迷期のロッソネロを支えてくれたけれど2年でトラブゾンスポルに放出されてしまった。今はパルマにいるらしい。髪型とシャツとタトゥーのせいでワイルドな感じで、この試合も走り回っていた。ハムシークのモヒカンは年々短くなっていて、でもいつものように似合っていた。カバーニラベッシとともにナポリで「3テノール」を構成してチャンピオンズリーグでベスト16に入った頃から知っている彼だけど、気づけば彼ももう33歳。自分も年を取ったなあと思ってしまう。

 アナウンサーは、チャンスかどうかに関わらずレヴァンドフスキにボールが入るととにかく叫ぶと決めているらしく、時々ボリュームを下げることを余儀なくされた。レヴァンドフスキにボールが入った時に追い越す動きがなかったし、サイドの守備を固められていい形でクロスを上げられなかったポーランドは前半に見せ場を作れなかった。

 

 後半、ハーフタイムに闘魂注入されたであろうポーランドが攻勢に出て、1分も経たないうちにリネッティがゴールを決めた。画面の右上に時間の表示が出る前に決まったので相当早くて、多分30秒くらい。文字通り目が覚めるようなプレーだった。

 ボール保持時のポーランドは左サイドのリブスを上げてベレシンスキ、グリク、ベドナレクの3バックになっていた。クリホヴィアクがボールを回してリネッティやクリヒが高い位置をとるようになっていて60分まではポーランドペースだった。

 これで試合が面白くなるぞと思っていた頃にクリホヴィアクが2枚目のカードで退場してしまった。クリホヴィアクは納得がいかない様子だったけれど、相手を踏んでいる2枚目はともかく、1枚目はファールかさえ微妙だったのでちょっとかわいそうだった。これでスロバキアが息を吹き返していく。前線の誰かが同じ位置を取るのではなくて、ハラスリーンとドゥダがポジションを交代したり、センターハーフのフロマダが高い位置をとったり、色々やっていた。スロバキアペースだなと思っているところにシュクルニアルがコーナーキックのこぼれ球を決めてゴール。そのコーナーキックは、クツカがドリブルで中央突破を試みて得たものだった。

 試合はこのまま終わった。最後同点を狙うポーランドがパワープレーに出たり、スロバキアが故障や交代で時間を使ったりとまあよく見る展開だった。スロバキアのキーパーのドゥブラフカはお気に入りの選手で、彼がレヴァンドフスキのシュートをどれだけセーブするか楽しみにしていたのだけど、結局ポーランドは枠内シュートが3本だけだった。レヴァンドフスキに決定機はなくて、センターバックのベドナレクの方がエースよりもたくさんシュートを打つような有様だった。

 

 両チームとも1年以内に監督を交代している。シュテファン・タルコビッチ氏をディレクターから昇格させたスロバキア代表と、外部からポルトガル人のパウロ・ソウザ監督を招いたポーランド。チームとしてのまとまりが違うように思った。もちろん1試合見ただけじゃわからないけど。スロバキアと比べるとポーランドは戦い方が定まっていないように見えた。

 というわけでMVPはタルコビッチ監督。裏MVPはクリホヴィアクにする。あのカードはかわいそうだ。あとスロバキア代表は顔がかっこいい選手が多い。よく見るとエディ・レッドメインに似ていると(私の中で)噂のハムシーク、ちょっとチャニング・テイタム感のあるクツカ、フボチャン、フロマダといった初めて知った選手もイケメンで、もしかしたら出場24か国の中で一番眼福なチームかもしれない。異論は、異論はたくさんあると思います。

 

 

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