シゲブログ ~避役的放浪記~

大学でロシア語を学んでいる者です 文章を書くのを仕事にするのが目標です。夢は世界一周です

#137 13歳の私へ

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13歳の私へ

 お元気ですか。中学校には慣れましたか。
 まあ慣れてないですよね。毎日毎日つまらない日々ですよね。
12年経ってもまだ思うのだから、あなたはもっとつまらなく思っているのでしょう。

 

 中学校に入学して、電車で通学するようになって、部活も塾もあって、急に忙しくなりましたよね。小学校と中学校では時間の流れ方が全く違って、大事なものを忘れてしまうかもしれないと焦っていると思います。でもその心配はしなくても大丈夫です。12歳以前に大事に思っていたことも、大事な思い出も、まだかなりの割合で覚えているので。
 この手紙を書くにあたって
1か月ほどかけて中学生の時ことを思い出してみたのですが、ムカつく出来事はまだムカつくし、好きな人は好きだし、嫌いな人はやっぱり今でもあまり好きじゃありません。一方で先生たちに対する印象は大きく変わりました。授業以外で言われることの半分ぐらいは聞かなくていいと思います。当時から今までずっと尊敬している先生は実は数人しかいません。

 FM802を果たしていつから聴き始めたのかとか、部活で履いていたスパイクがどんなのだったかとか、好きな人が貸してくれたピアノのCDがどんな内容だったのかとか、もしかしたらあなたにとっては大事かもしれません。でも残念ながら思い出せなくなってしまいました。ごめんなさい。

 

 13歳のあなたにとって学校は、いることを余儀なくされている大きな世界かもしれないけれど、世界はもっと広いです。塾もキンボールもあるし、本も映画もあります。一日の大半を学校で過ごしてますが、わりと小さな世界です。

 今一番悩んでいることは学校に親友がいないことだと思います。今も昔もそしてこれからも、あなたは『スタンドバイミー』が大好きなので、ゴーディとクリスのような友情に憧れていますが、「親友」と呼べる人ができるのはもう少し先になってからです。そもそも「親友」と「友達」の境目が何なのかって話でもありますけど。

 

 毎日が楽しくない理由や友達がいない理由についてあなたはよく考えているはずです。週刊ジャンプを読めば、音楽をよく知っていれば、ガラケーを持っていたら、友達ができると考えていると思いますが、関係ないです。サッカー部の人はみんなジャンプを読んでいて、そして多くがガラケーを持っていて、だから自分だけ仲間はずれにされているように思う時もあるけれど問題はもっと本質的です。あなたの考え方が硬すぎたり、知見が狭かったりするのが理由です。
 勉強ばかりしているのもよくないです。がり勉野郎で通っていますが、今のまま「勉強が出来ること」をアイデンティティにしているとえらいことになります。高校に入るとあなたは勉強に全く身が入らなくなるのですが、勉強が出来ないことでパニックに陥り、自分を見失ってしまいます。そうなった時に自分自身をを否定しないよう、今のうちから映画を観るとか、友達と遊ぶとか、そういうことをして世界を広げていってください。今のままだと好きなことを持たず、周りに無関心な残念な人間になる可能性があります。早急に映画を観てください。絵を描いてください。音楽を聴いてください。

 

 経済的な格差や、文化的な格差についてあなたは気づき始めたころだと思います。周囲の友達に対して引け目を感じていますよね。教室でも部活でも。家にお金がないとか、母子家庭だとか、そういう「違い」をずっと考えていると思います。地元の友達と遊ぶ時には考えもしなかった「格差」みたいなのをずっと考えて、時々クラスメイトがひどく羨ましく思えたり、逆に幼稚に思えたりしますよね。

 部活の帰りにはみんなでローソンで買い食いをするし、練習用にサッカーチームのユニフォームを持っていたりします。みんな登校中にイヤホンで音楽を聴いたりしています。結構なカルチャーショックですよね。交通費以外のお小遣いなんてもらったことがなかったし、最初の部活の練習着はイオンで買いました。セールだったので1500円とか1000円とかでした。そうあの猪名川のイオンです。おじいちゃんの家の近くの。

 

 後から思うに、違いというのはあって当然のものなので、そもそも意識しなくてもよかったのだと思います。誰かの目を気にせず、自意識過剰にならず、自分のやりたいように振舞えばよかったのだと思います。でもあなたは「母子家庭」というのを必要以上に重く考えて悩んでいるでしょう。小学校から受験するような子にはわからないだろうな、なんて考えているかもしれません。それはある意味で当たってて、「この人は自分が育った環境を当然だと思ってるんだろうな」なんて思ってしまうことは高校でも大学でもよくあります。同窓会でもそうです。なんなら今周りにいる人にもいます。ただ全員が全員わかってくれないというわけではなくて、多分今はみんな歩調がバラバラなのですが、少しずつ理解できるようになります。人を選んだりタイミングをみて話したらきっとわかってくれると思います。

 

 母子家庭で育ったことは後ろ暗いことではありません。「両親がそろっていないといけない」なんていう狭い考え方に縛られる必要は全くありません。幸せの形は人それぞれで、だから離婚したからといって不幸でいないといけないわけではありません。幸せになる権利は誰にだってあります。身長が低くても幸せになることはできます。アトピーが酷くても幸せになることができます。恋人がいなくても全然平気です。

 

 長くなりましたがスポーツの話でもして終りにしましょう。

 小学校では毎日プロ野球を見ていましたがこれからどんどん見なくなります。結局阪神はこの先の12年間、一度もリーグ優勝できません。ただ今年入団したブラゼルはわりと打ちます。来年にはマートンという外国人が来るのですがこの人もめちゃくちゃ打ちます。マートン阪神に長く在籍して、まるで生え抜きかのような扱いになります。

 野球に代わって、最近あなたが興味を持ち始めている海外サッカーを見ることが多くなります。今のお気に入りのチームはチェルシーだと思いますが、その後あなたはチェルシーを裏切り、ミラニスタに、そして最終的にアーセナルが好きになり、グーナーになります。一瞬だけニューカッスルファンになったりもしますが、オーナーのマイク・アシュリーの悪党ぶりに気づいてすぐに応援をやめてしまいます。

 チェルシーを応援しなくなっても、ミケルやエッシェンランパードドログバ、テリーといった選手はずっと好きです。今も昔も偉大な選手たちです。それからアシュリー・コール。彼を超える左サイドバックはまだ出てきていません。一番大好きな選手はチェコ代表ゴールキーパーペトル・チェフだと思いますが、彼はキャリアの最後の最後でアーセナルに来ます。今はチェルシーでスタッフとして働いています。ランパードは引退後にチェルシーの監督になるのですが1年ちょっとで解任されてしまいます。(チェルシーは所詮そんなチームです。早くアーセナルのよさに気づいて下さい)

 

 あなたが13歳の頃のフィギュアスケートはかなり熱いです。キム・ヨナ浅田真央という二人の天才が同じ時代にいるなんて、そうそうあるものじゃありません。メディアはさも韓国と日本の競争であるかのように報道し、松岡修造や国分太一がグランプリシリーズの成績に一喜一憂していると思いますが、今も昔も純粋にフィギュアスケートファンのあなたには誰が勝っても素晴らしい、そんな時代です。もちろん2021年もフィギュアスケートの世界はそれなりに楽しいのですが、時々キム・ヨナ浅田真央が懐かしくなります。キスアンドクライにいるブライアン・オーサーの顔や髪型はずっと変わりませんが、教え子の顔はどんどん変わっていきます。

 バンクーバーオリンピックフィギュアスケート女子フリーの時間は、中学校では美術の時間でした。美術の先生——名前はもう忘れてしまいました——は優しい先生で、特別にテレビを付けてくれて、あなたは教室でみんなと浅田真央の演技を見ることになります。浅田真央トリプルアクセルに拘るあまり、フリーではミスが多くなります。ラフマニノフの『鐘』のメロディーはとても暗くて、滑走する浅田真央の表情はずっと硬くて、悲しい気分でフリースケーティングを見ることになります。浅田真央はこれからジャンプのエッジで苦しむシーズンが続き、『くるみ割り人形』の時の楽しそうな表情はあまり見れなくなります。キム・ヨナバンクーバー後は少し競技生活を離れます。代わって新しい選手が活躍するようになりますが、残念ながらゲデヴァニシヴィリはこのシーズンがキャリアのピークです。それからレピストも早くに引退してしまいます。

 美術の先生は一年で学校を離れてしまうのですが、先生がクラスメイトに「濃い色を先に塗ると取り返しがつかなくなるから、薄い色から塗るんだよ」と教えている光景をなぜか覚えています。1学期では美術の成績が10段階中3だった私ですが、3学期には人並みの成績になるので気にしなくて大丈夫です。

 また連絡します。それではお元気で。

 

 

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