シゲブログ ~避役的放浪記~

大学でロシア語を学んでいる者です 文章を書くのを仕事にするのが目標です。夢は世界一周です

#123 松山から高松

 

f:id:shige_taro:20210202050417j:plain

令和元年 94

 書きたいことがたくさんある。忘れたくないことが星の数ほどある。

「山ほど」という言葉や「沢山」という言葉の語源はどこにあるのだろう。やはり日本が山がちだからこそ出来た言葉なのだろうか。この旅でもたくさんの山をみた。今日も松山から西条、新居浜を抜けて原付で走って来たけれど、国道11号線は途中で四国山地に入った。細い山道を縫うようにしてトラックや乗用車が走るから生きた心地がしなかったし、渋滞もところどころで起こるのだった。

 Ropeway St. Guesthouseでたまたま同室になったタチアナとドムに別れを告げて原付に乗ったのが今日の昼。松山城の東側にあるゲストハウス。一軒家を改装した建物はおしゃれな雰囲気で、オーナーも感じのいい夫婦だった。

 朝はゆでたモロヘイヤを食べた。少し固かった。早起きできたら道後温泉本館に行こうと思っていたけれどやはり起きれず、ゆっくりと朝食を食べた。食べながら、今朝見た変な夢を思い出していた。何者かによって高校時代の友達と共に校舎に監禁される夢だった。友達と離れた私は自力で脱出するのだけれど、脱出に成功した瞬間、自分だけ助かってしまったことに気付き、自責の念で苛まれ、ついには動けなくなってしまうのだった。私は上空から、コンクリートの上でうずくまる私の姿を、見下ろしていた。飛び起きると8時だった。私は時間をかけてモロヘイヤを咀嚼していた。

f:id:shige_taro:20210202050451j:plain

 もう少し松山に居たかったので出発前に少し歩くことにした。城山のふもとから商店街を抜けて松山市駅まで。いつかの国語の授業で観た俳句甲子園の映像を急に思い出した。高校生がチームを組んで俳句を発表し、句の善し悪しをディベートするという内容だった。その俳句甲子園が行われていたのがこの松山の商店街だった。何年も前に観た映像をまだ覚えているのが驚きだった。その映像に出て来た場所に今立っているのも変な感じがだった。

 松山市駅から路面電車に乗りゲストハウスに帰った。ゲストハウスの近くの古書店三好達治の随筆集を買った。ドミトリーでパッキングをしながら「この人は詩人で、自然のことを詠んだ人なんだよ」と二人に説明した。

 出発前にタチアナとドムと3人で写真を撮ろうかと思ったけれどやめた。忘れてしまうのが怖いから写真を撮って、思い出に振り返ってばかりの今の自分がひどく不健康であるように思ったからだ。写真なんてなくてもいつでも思い出せるようにしたい。でもそんなの絵空事だ。悩んでいることも、哲学も、好きな人のことも、家族も全部無に帰るのだと思う。結局。バックパックを背負い、午後は高松を目指す。城も街も人も一瞬で過ぎて行った。タチアナは日本を旅行しながら水彩画を描いているらしい。私は日記をずっと書いている。書きたいことがたくさんある。

f:id:shige_taro:20210202050525j:plain

 

 空腹を我慢して走り続けたせいで、立ち寄ったコメダ珈琲ではコーヒーだけのつもりがコロッケサンドも頼んでしまった。思ってより大きくて、食べた後眠ってしまった。イヤホンから聴こえるオードリーのラジオが心地よかった。ちょうどむつみ荘から放送した週で、二人でむつみ荘の思い出を話しているのを聴いているとしんみりしてしまった。いつか春日が住んでいるうちに阿佐ヶ谷のむつみ荘に行こうと思っていたけれど、いつになっても行けなさそうだった。

f:id:shige_taro:20210202050544j:plain

 イヤホンの向こうから聞こえるコメダの有線が良かった。同じカウンターに座る女の人は私が来た時には期間限定のかき氷を食べていたけれど、今はグラタンみたいなものを食べている。よほど面白いのかずっと同じ本を読んでいる。私はノートを開いてまた旅のことを書いた。また時間が経って、書かずにはいられない自分の性について少しだけ考えた。

f:id:shige_taro:20210202050826j:plain


 

f:id:shige_taro:20210202050607j:plain

仏生山温泉

 仏生山温泉は相変わらずぬるぬるしていた。肌に良いのであろうと思った。脱衣所で着替える時に車椅子の人がいたけれど、この建物は玄関から湯船にいたるまでほとんど段差がないので比較的楽に移動できるようだった。湯には1時間ほどいた。

 高松郊外の温泉。去年来たのは11月だった。私はまだ髪を伸ばし続けている最中だった。じろじろ見られた。髪の毛長い男が高松ではそんなに珍しのだろうかと思うほどだった。その時から髪を切ることを考え始め、暮れのロシア旅行の前に切ってパーマを当てた。ランボーみたいになった。それでもまだ髪は長かったようで、モスクワの地下鉄では女の子に間違えられた。トランジットで滞在した武漢でも男子トイレに入ろうとすると掃除のおばさんが「間違えているよ」とジェスチャーで教えてくれた。

 せっかく600円も払って入湯するのだからできるだけ長く入ろうと思った。何時間も原付の上にいてお尻が痛かった。体を伸ばして湯船の中で目を瞑るといい気持ちだった。お風呂を出た後はお座敷に座って少し休んだ。テレビでは野球中継がやっていた。

f:id:shige_taro:20210202050945j:plain

 高松市中心部に着いた時には、お店はもう店じまいしているころだった。名物の骨付き鳥にはありつけなかった。結局遅くまで空いていたうどん屋に入った。そこは歓楽街のそばだったので、「マッサージどう?」なんていう声を笑顔でかわして店に入った。生しょうゆうどんを頼んだ。すっかりできあがったサラリーマンで店は繁盛していた。少し割高に感じたけれど、長いお店らしく雰囲気もよくて、味も美味しかった。お金を払い、商店街をまた歩いた。

 珈琲と本と音楽 半空は大人の空間だった。コーヒーを頼んで、閉店時間まで居座ろうと思ったけれど、その大人向けの雰囲気に緊張してしまい、私はすこし居心地が悪かった。店の奥に座る男女は常連のようでマスターと話している。髭のマスターはてきぱきと動きながら、話に耳を傾けている。もう一人で入り口の近くにいる人は、学生のようで何やら勉強をしているようだった。テキストの内容をルーズリーフにまとめているように見えた。たくさんの本と音楽がカウンターのこちらにも向こうにも積み重なっていて、知らない人の名前がたくさんあった。やがて2時になり閉店と共にみんな店を出た。

f:id:shige_taro:20210202050918j:plain

 高松は24時間営業の店が少なくて、結局ネットカフェに泊まった。押見修造の『ぼくは麻里のなか』を読んだ。すごい面白くて全9巻があっという間だった。少し寝て、ココアとコーンポタージュとトーストをたらふく食べて朝の街に出た。

 

 

【今日の音楽】

 

youtu.be

 

 

この記事を読んだ人におすすめの記事

shige-taro.hatenablog.com

shige-taro.hatenablog.com

shige-taro.hatenablog.com

shige-taro.hatenablog.com