シゲブログ ~避役的放浪記~

ありゃりゃ、みつかっちゃったぜ。全部フィクションです

#84 盆のようなもの

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令和元年 8月18日

 おじいちゃんに私の来訪は伝わってなかったらしく、彼は驚いていた。一応お盆で、だから母と3人で過ごす予定だった。そうでもしないとなかなか会えないのであった。ほどなくして母が来た。本来ならば私が前もって祖父に連絡しなければならなかったみたいであった。祖父は午後から用事があると言った。 まあそれでも5時間ぐらい一緒にいられるのであった。 祖母の写真の前で手を合わせて挨拶した。そしてお菓子を食べながらリビングでゴロゴロした。山を切り開いて作った郊外の住宅地は夏でもひんやりしていて、時折通り抜けていく風が涼しかった。庭の木で蝉が鳴いていた。それは幸せかも知れなかった。祖父の家には沢山の思い出があるのだ。そのような場所にいるということ、それだけで安らぐのだ。なんだか落ち着くのだ。アイデンティティというのはこういう物かもしれない。言葉にすると陳腐なのがもどかしい。

  台所に蟻が沸いていた。それを見つけた母が騒いで、祖父と2人で侵入口を探していた。私は3人目のプレーヤーとして加わるには寝不足で、ソファーで寝ていた。夜勤明けだった。母と祖父のやりとり、それからラジオから流れる高校野球を聴きながら、何年も前の夏休みを思い出した。おばあちゃんがいなければこんなに静かなのだなあと思った。カウンセラーの先生曰く、私はおばあちゃんの影響を十二分に受けているらしい。この前の学生センターでのやりとりを思い出しながら寝てしまっていた。

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ミャンマー土産の置物、お菓子とお花とともに

 買い物に行くと言って起こされた。3人でナフコに行って網戸を買った。築50年の家はかなりガタが来ていて、ほとんどの網戸に破れ目があるのである。蟻退治の殺虫剤のようなものと、それからゴキブリ用のコンバットを買った。店に入ってすぐに祖父はレジ打ちで忙しい店員に、網戸の場所を訊いていた。私ならレジ打ちがひと段落してから訊くなあと思った。 ナフコの後に行った寿司屋でもおじいちゃんは壁に掛けてある包丁を、「あれは脇差ですか?」などと板前に頓珍漢な質問を投げかけていた。隣の知らない老婦人の会話に入り込もうとしたりといつも通りの自由人ぶりだった。板前はとても偉そうな人で、お店で働く人を文字通りあごで使っていた。そして客の前で叱ったりしていた。田舎になければとっくに潰れている店だろうと思った。

 座ったのはカウンターだった。私は祖父と母の真ん中に座ったのだけれど、私と母が話す時、耳の遠い祖父は会話に入れなくて、あるいは興味がなくて、退屈そうだった。私はともと韓国に行く話をした。香港は危ないだろうということになった。 また祖父の家に帰って、私はまた庭の蜜柑の木を見ながら眠ってしまった。 時間が来て母は祖父を車で駅まで送り、そのまま家まで帰っていった。私も同時に原付に乗った。家には帰らず、近くに住む従兄弟の祖父母の家に行くことにした。

 

 丸顔の従弟が大型車に乗って来た。私の顔を見てニヤっと笑った。最近免許を取った従弟は日に日に運転が上手くなっている。今度九州まで友達と旅行に行くらしい。私は汗まるけで、従弟のおばあちゃんは驚いていた。「シャワー浴びていくか?」なんて言われたけれど丁重にお断りした。冷たい麦茶が美味しかった。 少しボケが進んだおばあちゃんが、桃やらブドウやらお茶やらをひっきりなしに何遍も勧めてくる。それをのらりくらりとかわしていくうちに時間が過ぎていった。いつもと違って、今日は従弟と2人で気持ちに余裕があった。おじいちゃんは元気そうではあったけれど、体調のことを訊くのは悪い気がしてやめた。 短期記憶がなくなったおばあちゃんは、同じことを何回も訊いた。

 原付を車の中に乗せて、従弟の運転で家まで帰った。従兄弟が近所に住んでいるというのはこういう時便利で楽しいのである。しかし、小さい時から知っている彼の横の助手席に座るのは不思議な感じだった。落ち着いた性格の彼は私よりもうんと上手に運転をしていた。 ブルートゥースでカーナビをスマホと連動させて、色々音楽をかけてくれた。BTSとかTWICEみたいなK-POPAviciiとかAlan WalkerみたいなEDMもTaylor SwiftとかAriana Grandeかも、幅広く音楽を聴くみたいだった。 年下でも彼の方が「大人の」音楽を聴き始めるのが早かったなと思い出した。彼は小学校低学年でラジカセを買ってもらって、CDをたくさん借りて聴いていた気がする。 私が本格的に音楽にはまるのはウォークマンを買ってもらった13歳なので、だいぶ早い。江南スタイルも、スキマスイッチコブクロも従弟の方が先に知っていた気がする。

 寝る前、彼に教えてもらった音楽を聴いた。どれも良かった。

 

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これは従弟ではなく友達に教えてもらったバンド。最近よく聴いている

 

 

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