〈詩のコーナー〉
教室
教室のうしろすわり
脳みそ半分できいている
ぬるぬるの雰囲気うすら寒い空調
すやすやの寝顔と誰かのしたおなら
茶髪に染めただけのあいつも
スマホ片手につまんない顔してる
今日もまたそれぞれの人生がこの部屋で交差して
またみんな元に戻ってく
このくりかえしが何回も何十回も
あるけれど誰も意味を知らない
分かっているのは一つだけ
年をとってみんないつか死ぬ
一人残らず
〈付録『地下室の手記』〉
ドストエフスキーの中編小説です。読んでいくと、主人公と私がとても似ているように思えます。感じやすいくせに頭でっかちで理屈をこねて自らを正当化し、世界を軽蔑し、また憎みながら日々を過ごしている主人公はグロテスクです。私はどうしても主人公と自分とが似ているように思えてならない。うまくやるために、どうにかして主人公を反面教師にする必要があると思いますが、それはとても難しいです。手元にあるものは新潮社から昭和四十四年に出ている江川卓の訳の五十七刷です。
P109 第二部《ぼた雪にちなんで》9
だが、このとき、ふいに奇妙なことが起った。
ぼくは、万事を書物ふうに考え、空想し、また世のなかのいっさいを、かつて自分が頭のなかで創作したようなふうに想像する習慣が染みついてしまっていたので、そのときとっさには、この奇妙な状況を理解することができなかった。ところで、事実はほかでもない、ぼくによって辱しめられ、踏みつけにされていたリーザが、実は、ぼくの想像していたよりずっと多くを理解していたのである。彼女はこの長広舌から、心から愛している女性がいつも真っ先に理解することを、つまり、ぼく自身が不孝だということを理解したのだ。