シゲブログ ~避役的放浪記~

些細な出来事、思い出、映画や音楽、フィクションと詩

#68 Blue Days

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〈詩のコーナー〉

Blue Days

 

あなたはいないこのドアのむこう

あなたはいないこの夜の街にも

悲しくなんかないさびしくなんかない

 

七夕なんて毎年雨降り

シャワーのあとでコーラを飲んでる

テレビつけたまま暗がりの中で

 

帰りに買ったバニラのアイスバー

逃げ出したいのぬるま湯の日々から

夢だけ見ている月夜の窓辺に

 

カラスがとまる螺旋の階段

夕凪の街急に雨が降る

白くなる世界誰もいない路地

 

黒いアスファルトすき間に咲いた花

風のむこうの優しい思い出も

静かに消えていく全てが無に帰る

 

未だ鮮やかな青春の残像

とらわれている古ぼけたルールに

ラジオは流れても誰もいない空

 

幸せなんてつかめるはずもない

掬ってみてもあとから逃げてくの

絶え間なく続く真夏のメロディー

 

季節は巡る頼んでもないのに

カレンダーの絵はどこかの砂浜

握りしめている遠い日の痛み

 

かもめがとんだそのあとの一瞬

行くあてもない今夜は熱帯夜

オレンジの光長い夜が来る

 

沈んだ湯船明日を覗いている

夢ばかり見ても仕方がないのに

二度と帰れないあの夏の匂い

 

プールのあとの熱くなった体

体育座り灼けたマンホールも

探し求めている記憶のほとりで

 

電話は切れた誰も出ないままに

消えたくなるのこんな夜更けには

また繰り返してる最初の夏休み

 

あなたはいないこのドアのむこう

あなたはいないこの夜の街にも

悲しくなんかないさびしくなんかない

 

幸せなんてつかめるはずもない

掬ってみてもあとから逃げてくの

絶え間なく続く真夏のメロディー

 

電話は切れた誰も出ないままに

消えたくなるのこんな夜更けには

また繰り返してる最初の夏休み

 

 

 

〈付録『地下室の手記』〉

 ドストエフスキーの中編小説です。読んでいくと、主人公と私がとても似ているように思えます。感じやすいくせに頭でっかちで理屈をこねて自らを正当化し、世界を憎みながら日々を過ごしている。少しグロテスクな主人公なのです。私はどうにかして主人公を反面教師にしないといけない。そう思います。でもそれはとても難しいです。手元にあるものは新潮社から昭和四十四年に出ている江川卓の訳の五十七刷です。

 

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第二部《ぼた雪にちなんで》1

 

 同僚とのつき合いは、もちろん、長くはつづかないで、じきにぼくは彼らを見かぎってしまった。そして、当時のぼくの若さと無経験から、それこそ絶交でもしたように、あいさつすることもやめてしまった。もっとも、これはぼくの生涯にただの一度しかなかったことである。がいしていえば、ぼくはいつも一人だった。

 まず第一、家にいるときは、ぼくはたいてい本を読んでいた。ぼくの内部に煮えくり返っているものを、外部からの感覚でまぎらわしたかったのである。ところで、外部からの感覚のなかで、ぼくの手のとどくものといえば、読書だけだった、読書は、むろん、たいへん役に立った。興奮させたり、楽しませたり、苦しめたりしてくれた。しかし、それでもときどきはおそろしく退屈になった。 

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