シゲブログ ~避役的放浪記~

日々の些細な出来事、昔の思い出を書いていきます

#30 ちょっとラクになる音楽たち

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 今日は「しんどい時に私が救われた音楽」について書こうと思う。

 ちょうど今日916日までの1週間が「自殺予防週間」だったらしいし、10日はWHOが制定した「世界自殺予防デー」だったみたいだ。

 この国では91日に自殺する人が多いらしいというニュースを初めて見たのは多分18歳の時で、衝撃的だった。しかし考えてみると思い当たることはたくさんあって、私が初めてしんどくなったのも夏休みの終わりだった。

 本来なら「自殺予防週間」なんてものがあること自体おかしいのだと思う。でも仕方ない。私たちはいつからか「死にたい」という感情を抱くようになってしまったのだ。悲しいけれど。

 

 今回、自分がしんどい時に聴く音楽について書いてみた。【シリアスな曲】、【しっとりした曲】、【叫ぶ曲】、【考えずに聴く曲】と4ジャンル17曲あるので、好きな箇所から読んでほしい。

 自分の好きな曲を他の人が知ってほしいと思って書いたのが8割ぐらいである。でも、もしここに書いた音楽でラクになる人がいたらそれは嬉しい。

 

 紹介する曲は以下の通り。

【シリアスな曲】

アンジェラ・アキ「手紙」

みるきーうぇい「ほんとは生きるのとても辛い」

中島みゆき「時代」

中島みゆき「ファイト!」

 

【しっとりした曲】

小沢健二天使たちのシーン

ラッキーオールドサン「ミッドナイトバス」

Peter, Paul & Marry500 miles

The ClashLost in the supermarket

Samuel BarberAdagio for Strings

 

【叫ぶ曲】

Ben E KingStand By Me

尾崎豊15の夜」

フラワーカンパニーズ「深夜高速」

高橋優「陽はまた昇る」

 

【考えずに聴く曲】

くるり「ハム食べたい」

Plastic BertrandÇa Plane Pour Moi

The Royal ConceptOn Our Way

My Chemical RomanceNa Na Na

以上17曲。

 

 

 

 

【シリアスな曲】

最初は、歌詞やメッセージがストレートに伝わってくる4つの曲です。全部歌詞そのまんまです。

 

 

1)アンジェラ・アキ「手紙」 13

 

 初めてウォークマンに入れた曲の一つがこのアンジェラ・アキの「手紙」である。ウォークマンをもらっても何を入れたらいいのかわからないからとりあえず家にあるCD——クラシックがほとんどだった——を片っ端から入れていった。その中におばあちゃんが買ったアンジェラ・アキもあった。有名な曲だし、まだウォークマンに曲がそれほど入っていなかったので私はそればかり聴いていた。

 「手紙」が大きな合唱コンクールの課題曲に指定されて一躍有名になった後だった。現在の自分と過去の自分が対話するという歌詞にはストーリーがあってそれがクールに思えた。ピアノの音も好きだった。私はこの曲がお気に入りでよく口ずさんでいた。

 私は別にいじめられていなかったし、思春期にも入っていなかった。まだクソガキで、別に学校も人間関係もつらいともしんどいとも思わなかった。ただ年を経るにつれて人生は段々しんどくなって、高校1年でピークに達した。めちゃくちゃしんどかった。助けを求めるように映画を観て本を読んで音楽を聴いた。「手紙」もその時に再び聴くようになってようやく理解し始めた。

 歌詞にあるような「消えてしまいそうな時」というのに本当に直面していて、でも死ぬわけにはいかなくて、どうにかこうにか切り抜けないといけなかった。自分がどんな人で何をしたいのか今まで真剣に考えたこともなくて、確かに「将来の夢は映画監督です」とか調子の良いことを言っているけれど別に美大の入試に向けて努力しているわけでもなく放課後はサッカーをしている。このままいけば多分普通の大学に入ってやりたくもない仕事に就かないといけないのかもしれない、でもそんなことを考える前にまず目の前にある問題を片づけないといけない。部活のことクラスのこと家族のこと好きな女の子のこと——不安の種は次から次へと浮かんで心が休まらなかった。

 

 ながーい現実逃避のあと、1回死んだつもりでやり直すことにした。全てに立ち向かわなくてもいいのだとわかったので、いくつかのことをあきらめようと思った。英語の暗唱テストは黙りこくったままで通したし、得意な世界史だけやってればいいやと思うようになった。自分に完璧を求めることをやめようと思った。ちょっとだけラクになった。

 その後何年か経って「人生のすべてに意味がある」という歌詞の意味もようやくわかり始めてきた。生きててよかったなあと最近は思う。

 

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2)みるきーうぇい「ほんとは生きるのとても辛い」19

 

 20164月。大学に入ることになって、楽しみでもあり不安でもあった。スマホを買ってもらってYouTubeを簡単に見れるようになったので、入学までの間毎日音楽を聴いていた。予備校の友達とカラオケに行った時メイちゃんが歌ったチャットモンチーの「シャングリラ」と相対性理論の「気になるあの娘」が気に入ったのでそこらへんをよく聴いていた。受験期から気になっていたHomecomings Hyukohも飽きるほど聴いた。

 YouTubeでは1つの動画が終わると15秒ほど後に彼らがオススメする動画が勝手に再生される。ある時、Hyukohの韓国語の曲をかけてそのままスマホをほったらかしにしていると、日本語で女性ボーカルが歌い始めた。Hyukohの別の曲に変えようかと思ったけれど、ストレートな歌詞が胸に刺さってそのミュージックビデオから目を離せなくなった。

 それは例えるならMax150キロのストレートで、ひょっとすると大谷翔平よりも速かったかもしれない。「ほんとは生きるのとても辛い」は自殺がテーマの曲で映像も歌詞もどうしようもなくストレートだ。血が出るくらいにキリキリ尖っていて、今までに全く聴いたことのない音楽だった。

 中島みゆき尾崎豊も私がしんどい時そっと寄り添ってくれる。けれども彼らはもう大人である。少なくともずっと年上の人たちで、平成っ子の私には歌詞が古いと感じる時もある。出てくる単語や言い回しになじみのないこともある。その点、みるきーうぇいは私とほとんど同世代で、私が普段使っているような言葉をストレートにぶつけていた。オブラートに包んだ抽象的かつ婉曲的な歌詞ではなくてそのままの感情をそのままの言葉で発していた。めちゃくちゃかっこよくて「パンクだなあ」と思った。彼らの曲はいじめとか自殺、鬱がテーマが多くての悲しい曲が多い。メンヘラだと言う人もいると思う。でもその飾らない表現は現実社会を映していると思う。楽しい歌や泣けるテレビ番組、笑える動画はいっぱいあるけれど別にそれだけが人生じゃない。人間はもっと複雑で孤独で悲しくてかっこ悪い。そういった人間のリアルをちゃんと表現していると思う。

 辛い時に聴くみるきーうぇいは、いつも私と同じサイドに立って私を勇気づけてくれる。私は自分が一人ではないことを再確認してすこし安心するし、独りで頑張っているボーカルにも、歌詞の中の前向きな言葉にも勇気づけられる。今度ライブに行く。

 

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3)中島みゆき「時代」18歳

 

 ある時テレビをつけたら小藪千豊が映っていた。しんどい時に励まされた歌として、彼は中島みゆきの「時代」を挙げていた。売れない若手芸人だった小藪がつらかった時にふと聴いた「時代」の「あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ」という歌詞に助けられたという話だった。テレビでヒールを演じることの多い小藪がそんな風につらかった若手時代のことを喋っているのが新鮮でついついテレビに見入ってしまっていた。あんなに性格の悪いように見える小藪を勇気づけたという曲を聴いてみたいと私は思った。

 ちょうど伯父が中島みゆきのシングル曲を集めたCDを持っていた。「時代」もその中に入っていて、私はそのCDウォークマンに入れた。毎日そればっかり聴いていて自分の心を慰めていた。高校を卒業した時、同じクラスの友達と一緒にカラオケに行って、私はみんなの前でその歌を披露した。同じ場にいたM君も「時代」を知っていて彼と一緒に歌った。浪人に突入する時だった。歌詞にあるようにつらい時代のことも笑って話せる日が来たらいいなと思った。そして実際にそういう日は来た。

(※動画はショートバージョンです)

 

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4)中島みゆき「ファイト!」21歳

 

 去年の11月、福井に旅行に行った。帰りに京都の友人を訪ねた。彼は大学に入ってから音楽に目覚めたみたいで、ギターで弾き語りをしてくれた。中島みゆきが好きだと言うと「ファイト!」を歌ってくれた。私はそこでその曲を初めて知った。彼はいろいろ変わってしまっていて、私は少し寂しかったけれど、モノマネのうまさだけは全く変わっていなくて安心した。彼の声は中島みゆきにそっくりだった。

 中島みゆきの歌詞にはいつもストーリーがある。「ファイト」の中にもいろいろな物語が見える。歌詞にあるように頑張っている自分を笑う人をいつかは見返したいと思う。自分も人の頑張りを笑うことはしたくないなと思う。

 後で知ったのだけれど「ファイト」カロリーメイトCMで有名になった曲らしい。YouTubeで調べると満島ひかりが歌っていて、そっちもなかなか良かった。しんどい時にこの歌を口ずさむと不思議と力が湧く。

(※動画はカロリーメイトCMです。歌っているのは中島みゆきではなく満島ひかりです)

 

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【しっとりした曲】

眠れない夜に聴いてほしい。ホットミルクとか飲みながら聴いたらいいと思う。

 

 

5)小沢健二天使たちのシーン」20歳ぐらい 

 

 小沢健二という人が長いブランクを経て新しいCDを出すらしい、というのをある日のFM802で知った。その頃の私は火曜日の深夜にやっているMidnight Garageという番組が大好きで毎週聴いていた。その時に私は初めて小沢健二という名前を知ったし、彼が一昔前にカリスマ的な人気を誇っていたことも知った。番組で流された彼の新曲を聴いたけどなんというか不思議な魅力があった。私は小沢健二の曲をYouTubeで調べてみた。古いライブ動画を見ると、彼の人気のほどがよくわかった。

 いろいろ聞いたのだけど「天使たちのシーン」という曲が一番心に残った。歌詞の意味もよくわからないし、めちゃくちゃ長い曲なのだけど何回も聴いてしまう不思議な曲である。たぶんメロディーがいいのだと思う。深夜のつらい時間に聴くとちょっと心が軽くなる。

 

 

 

 

 

6)ラッキーオールドサン「ミッドナイトバス」19歳

 

 これも眠れない夜によく聴く曲だ。浪人時代に初めて聴いたのだけど衝撃だった。どこか懐かしいメロディーと飾らないボーカル。全体的に静かな分、ストレートに伝わってくる歌詞。私は予備校の自習教室で勉強していたのだけれど、急いで「ミッドナイトバス」とノートの端に書きとった。

 大学に入ってYouTubeが好きなだけ見れるようになってから「ミッドナイトバス」のミュージックビデオを何度も何度も観た。たぶん100回ぐらい観たと思う。何回も何回もYouTubeで再生しながら、彼らが私の孤独に寄り添ってくれる気がした。「しんどいのは君だけじゃないんだぜ。がんばっていこうぜ」と言われている気がした。

 

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7)Peter, Paul & Marry500 miles」18歳 

 

 私は群れることが嫌いである。そのくせ寂しがり屋で時々誰かの背中に泣きつきたくなったりする。

「自分は自分だ。自分だけの道を行かないといけない」と知っている。どんな人も皮を剥がしていけば最後に残るのは孤独な存在である。どんなに偉そうな人もすごい肩書がある人も、結局のところ一人で生きて死ぬ。頭ではわかっている。

 誰かが遠くに行った時、すごいことをした時、置いて行かれたような気分になる。昔は同じ教室で勉強していた人が東京に行ったり、就職を決めたり、留学に行ったりしている。SNSを通じて頑張っている様子の彼らが目に入ってくる。

 もちろんわかっている。私と彼らは全く違う。目指している方向も距離も、お互いにベクトルが違うのだ。

 それでも時々、どうしても彼らが羨ましくなる。ないものねだりがしたくなる。「おいていかないでくれよ!!」と叫びたくなる夜がある。そんな時この曲の歌詞を思い出す。

 

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8)The ClashLost in the supermarket」19歳 

 

 河合塾に通う浪人生には、一日の授業を終えた後「チュートリアル」と呼ばれるホームルームがある。チューターと呼ばれる職員の人が事務連絡を伝えてくれる。私たち浪人生はチュートリアルの時だけ決められた席について話を聞かなくてはならない。私の席の後ろには「ケニア」というあだ名で呼ばれているヘンな子がいた。彼は不思議な雰囲気を持った子で、音楽と文学にとても詳しかった。よく昼ご飯を食べながら音楽や文学について喋った。彼は私に初めてロシア文学のすばらしさについて熱弁した人物で「プーシキンは偉大だ」みたいなことを言った。その熱弁から一年後、私はなんの巡り合わせかロシア語科に入学することになった。

 

 仲良くなったきっかけは缶バッジだった。彼のくたくたの筆箱には「Sex Pistols」と書かれた缶バッジがついていた。私はパンクロックに目覚め始めた頃で、同志を見つけて嬉しくなった。「ピストルズ、好きなん?」と聞くと「好きやで。まあクラッシュの方が好きやけどな」みたいなすかした答えが返ってきた。私もThe Clashが好きでウォークマンに一枚だけ入れていた。まさかこんな近くにThe Clashを知っている人がいるとは思わなかったので興奮した。

 お気に入りの映画「ロイヤルテネンバウムズ」の中で「Police Thieves」という曲が使われていて、その曲を歌っているのがThe Clashだった。市立図書館のCDコーナーで探すとたまたまThe Clashのライブ音源があって私はウォークマンに入れた。70年代から80年代にかけて活躍したバンドを知っている同世代はいないと思っていたのに、まさか後ろの席のやつが知っているとは。世界は広いのか狭いのかよくわからない。

 彼にはCDを貸してもらったりして、いろいろThe Clashについて教えてもらった。彼は「(White man) In Hammersmith Palais」がすごいと言い、私は「Lost in the supermarket」が一番すごいと言った。別にThe Clashの話ばかりじゃなくて他の話もした。チャップリンの映画音楽の話もしたし、ロシア文学のこともだいぶ教えてもらった。彼は段々予備校に来なくなって消息不明になったのだけど、風の便りによれば最近第一志望にようやく合格したという。いつかまた会えたらいいなと思う。

 

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9)Samuel BarberAdagio for Strings」17歳

 

 アヒージョではない。アダージョである。アダージョは「『ゆるやかな速度』を示す音楽用語」だという。転じて緩やかな速度で書かれた曲もアダージョと呼ぶのだという。このリストの中で唯一詩がない。

 初めて聴いたのは5年前である。テレビでケネディ大統領のドキュメンタリーがやっていて、彼のお葬式で流れていたのがこの曲だった。私は音楽のことはよくわからないけど、とても心が動かされた。悲しい気分にもなったし、心が洗われる気もした。

 番組が終わった後パソコンを立ち上げてYouTubeに「Adagio for Strings」と打ち込むとオーケストラの動画がいくつか出てきた。片っ端から聴いた。ついには図書館でCDを借りてウォークマンにも入れて時々聴くようになった。特に受験期の疲れた日やしんどい時によく聴いた。別にこの曲のおかげで勇気が出るとか頑張れるとかはなかったけれど、怖くて眠れない夜にこの曲を聴くと不思議とよく眠れた。

 

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【叫ぶ曲】

私は自転車に乗りながらよく歌う。塾や学校から帰る道で私は歌をよく練習する。たまにびっくりした顔で見られることもあるけれど、自転車で通り過ぎるのは一瞬だから歌いながら走ってもあまり恥ずかしくないのだ。

 

 

10Ben E KingStand By Me」6歳?

 

 人生で最初に見た映画はたぶんドラえもんの映画で、私は全く覚えていない。家に残っていたパンフレットをみるに、アステカとかメキシコの古代文明のび太たちが活躍する映画だったと思う。私が推測するにたぶんその映画は私と両親がそろって映画館で観た最初で最後の映画だと思う。

 記憶にある中で一番最初の映画は「ハリーポッター」と「スタンドバイミー」である。どっちが先なのかはわからないけれど、「ハリーポッター」は劇場で「スタンドバイミー」は図書館で観た。幼な過ぎた私には「スタンドバイミー」の内容はまるで分からなかった。ブルーベリーパイを次々に吐き出すシーンと少年たちの肌に吸い付いたヒルの気持ち悪さしか印象に残らなかった。ただエンディングで流れるBen E Kingの「Stand By Me」はずっと覚えていてテレビやラジオで聴くたびに映画のことを思い出した。

 15歳ぐらいの時にTSUTAYADVDを借りて映画をもう一回見直した。ようやくストーリーがわかった。リバーフェニックスの煌めきが眩しかった。そしてやっぱりBen E Kingの歌は良かった。TSUTAYAサウンドトラックを借りて、歌詞をノートに書き写して覚えた。ボイスパーカッションでイントロを歌おうと何回も練習した。何回も歌って聴いているうちにこの曲は特別なものになった。

 

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11尾崎豊15の夜」14歳 

 

 この曲は中学生3年生ぐらいから聴き始めたのだと思う。「ぬーすんだバイクではーしりだす~」のフレーズは替え歌とかで小さいころから知っていたけれどちゃんと聴いたことはなかった。TSUTAYAで借りた尾崎のCDには「15の夜」と「卒業」が入っていた。校舎裏でタバコを吸ったり、バイク盗んで走り出しちゃったり、夜の校舎の窓ガラスを壊してみたり、ストレートに反抗できる昔の「不良」と呼ばれる人たちが羨ましかった。平成20年代の日本で——少なくとも私の周りで——そんなぐれ方をしている人を見たことも聞いたこともなかった。

 18歳のある夏の夜、母親とめちゃくちゃ喧嘩した。勉強をしたくなかったけど、そんな自分が不安だった。このままでは志望校にはとうてい受からないような成績だったし、受からないとはなからあきらめているようなところもあって勉強する気も起きなかった。ただただ映画ばかり観て昼夜逆転生活を送っていた。私はむしゃくしゃした私は深夜2時、自転車で走りだした。はじめは近くの海まで行って防波堤の上で寝ようと思ったのだけど、海岸は思った以上に風が冷たかった。寝ころんでもただただ都会の光に照らされた夜の曇り空があるだけで自分の沸々とした心は収まらなかった。結局私はとりあえず西に向かって走り始めた。誰もいない道を走りながら「15の夜」を熱唱した。もう18歳なのに。

 ものの1時間ぐらいで三宮に着いた。商店街にはホームレスがたくさんいた。夜でも明るい繁華街があってなぜか外国人がたむろして騒いでいた。少し怖かった。駅前のベンチに座ってそこに座ってぼんやりしていた。駅前には今は亡き「パイ山」がそのころはまだあった。

 センター街を通り抜けた。昼間は人がいっぱいで自転車ではとても走れないアーケードを走る。前を見ても後ろを振り向いても自分と寝ているホームレスしかいない。なんだか笑い出したくなった。ところどころに電気がついていて明るくもなく暗くもない不思議なグレーの世界だった。一方でその先の南京町は真っ暗だった。見慣れない中国風の街が妙に不気味であった。中国風の屋根も門もコンクリートの像もなんだか怖かった。

 私は帰ることにした。帰り道、尾崎が15歳でやったことを自分は18歳でやっていることに気付いた。ダサいなと思った。しかも乗っているのは自前のマウンテンバイクだ。ああ情けない。

 家に着いたのは朝5時で、すっかり明るくなっていた。私はベッドにたどり着いてぐうぐう寝た。その時から「15の夜」には妙な親近感を覚えるようになった。

 

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12フラワーカンパニーズ「深夜高速」19歳 

 

 「生きていてよかった そんな夜を探している」っていうサビの歌詞だけで好きになるには十分だった。浪人時代の真夜中にラジオで聴いたこの曲が忘れられなくて、大学に入ってからCDを買った。何度聴いてもやっぱりよかった。

 熱量がすごいのでとにかく聴いて叫んでみてほしいと思う。

 

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13)高橋優「陽はまた昇る」16歳 

 

 映画「桐島、部活やめるってよ」がめちゃくちゃ好きなんだけど、そのエンディングで流れるのがこの曲なのだ。一応【叫ぶ曲】のところに入れたけれど【シリアスな曲】のところに入れてもよかったかもしれない。歌詞は簡潔でわかりやすくてド直球なのだ。それを高橋優はめちゃくちゃ全力で歌う。ほとんど叫んでいるようである。

 映画が公開されたのは2012年の8月とかで、私は劇場でこの映画を観た。感動して涙が止まらなかった。映画が終わってからしばらくの間動けなくて係の人がほうきとちりとりで掃除を始めてもなかなか立ち上がれなかった。ラストシーンの東出昌大のうるんだ目と高橋優の声でガツ―ンとやられた。何でもできるのに何もしていない登場人物がまるで自分のように思えた。

 映画館であんなに泣いたのは「桐島、部活やめるってよ」のエンドロールと「ララランド」の冒頭のシーンだけだと思う。

 

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【考えずに聴く曲】

このジャンルはあんまり書くことがない。とりあえず頭を空っぽにして聴くのだ!!!

 

 

14くるり「ハム食べたい」16歳ぐらい? 

 

 岸田繁がひたすら「ハム食べたい」と歌うだけの曲である、と言ってしまってもほとんど語弊はないと思う。

 とりあえずこの曲を聴いて「ハム食べたい」と何回か言ってみてほしい。もしかしたらちょっとすっきりするかもしれない。その後でなぞときのような歌詞を読んでストーリーを想像してほしい。どうも、歌詞に出てくるハムという言葉は暗喩で、別の意味が込められているように思える。ネットにはいろんな意見があって、岸田繁がそれについて言及したこともあるらしいけれど、私はまだ答えを出せていない。

 

P.S.この曲をみんながいるカラオケで歌うのは避けた方がいい。みんなが笑ってくれるのは最初だけで、完全なる出オチになってしまうからだ。

(※この曲だけはYouTubeにはありませんでした)

 

 

 

15Plastic BertrandÇa Plane Pour Moi」18歳 

 

 フランス語、、、なのか? よくわからない。とにかく知らない言語である。歌詞の意味がみじんも分からない。動画を見る限り楽しい曲みたいだ。この曲に関しては、私は曲を楽しむというよりむしろYouTubeの動画を楽しんでいる。Plastic Bertrandという名前の歌手が奇天烈な格好で歌いながら踊っている。そしてサビになると腕を組んでちょっと決め顔をしたりする。画面の中の彼はめちゃくちゃ自由で、見ているだけでニヤニヤしてしまう。ついつい私もサビの「ウ―ウ―ウ―ウ―」のところを裏声で歌ってしまう。

 1970年代の曲である。イギリスでクラッシュやピストルズといったパンクロックが全盛の頃、ベルギーにはこんな歌手がいたのか。

 高35月ぐらいに塚口で観た「ルビースパークス」という映画のワンシーンにこの曲が出てきて、そこで初めてこの曲を知った。映画のシーンもまた主人公がはしゃぎまくる楽しいシーンだった。こっちの映画もおすすめである。

 

P.S.テストの合間の休み時間にこの曲を口ずさむのはやめたほうがいい。みんなのひんしゅくを買ってしまう。私はクラスメイトのO君にこっぴどく怒られた。

 

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16The Royal ConceptOn Our Way」18歳

 

 スウェーデンのバンドだったと思う。くるり岸田繁がどこかで紹介していて知った。ユニバ——東京ではUSJって言うんだっけ?——のCMでも使われていたらしく、なんだかパリピが好きそうな曲だ。プールで泳いだりスケボーに乗ったりするミュージックビデオといい、ノリのいいメロディーといいパリピのにおいがプンプンする。映像をみた感じだとメンバーも多分パリピだ。パリピじゃない人はトラックの荷台でギターを弾いたりしない。キャンプファイヤーの周りでお酒をのんではしゃぐこともない。まあ偏見なんですけど。

 基本的には明るい曲なのだけど、歌詞はよくわからない。恋人について書いているようにも読めるし、自分の夢や目標について書いているようにも受け取れる。不思議な歌詞だ。なによりキャッチーで疾走感のあるメロディーがずっと頭に残る。浪人の時、どうしても眠い時にはこの曲をずっとリピートして聴いていた。数学の授業で眠くなった時は、授業そっちのけで脳内で再生するときもあった。どうしてもやる気が出ない時にこの曲を聴くとなんだか頑張れる気がした。

 彼らは今度の10月に台北でライブをするみたいだ。台北の人が羨ましい。

 

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17My Chemical RomanceNa Na Na」19歳 

 

 最後はマイケミで締めようと思う。

 とにかくもやもやが溜まって爆発しそうになったらこの曲を聴いてほしい。この曲を聴いて叫べばちょっとはすっきりするかもしれない。変えたい変わりたいと思っているけれど結局何もできないでいて、そんな自分がイヤになっている時にこの曲を聴くと私はやる気がでる。この鬱々とした気持ちに点火して爆発させ、何か別のきれいなものに変えてみたいと思う。

 ドライブの時にこの曲を聴くのもおすすめである。

 ミュージックビデオは二つあってどちらもいい感じである。

 

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【あとがき】 

 最後まで付き合ってくれてありがとうございます。音楽を紹介するといいながら映画やラジオ番組、さらには私の友達を紹介することになってしまいました。自分が楽しいだけの文章になっていないか心配でしょうがありません。

 書いていて思ったのですが。私の音楽体験はFM802ウォークマン、映画とYouTubeによるものが大きいようです。17曲のうち10代に聴いていた曲がほとんどで、20代になってから聴き始めた曲は「ファイト!」だけというのも不思議だなあと思います。

 

 もしよかったらあなたの「しんどい時に救われた曲」をコメントで教えてください。親しい人は今度会った時にでも教えてください。ではでは。